「ただいまー。ごめん。遅くなってー。……半兵衛、秀吉、誰もおらんの?お店かな。」
「……あれ?お店が開いてない…?今日は営業日やけど…。」
ガチャ
ガチャ
「……なんで誰もおらんの…?……もしかして、皆…消え…た…?…嘘……いや…。秀吉ぃー!半兵衛ぇー!三成ぃー!刑部ぅー!左近ー!………いや…いやや……また独り…。嫌…三成…三成ぃぃー!」
「何だ、煩い。」
「………みつ、な…り……?」
「このような刻限に騒ぐなど近隣の迷惑になると言っていたのは貴様ではないか。」
「三成ぃ……。」
「ッ!?夢女、泣いているのか!?何故だ。」
「み、みんな…おらんくなっ…なって……うち…ひっ……ひと…り…で……怖…怖かった…。おいて…行かん…といてぇ……。」
「夢女……。」
「三成ぃ…。」
ぎゅっ
「私は決して、貴様を置いて消えたり等しない。」
「ほんまに…?」
「私は虚言は吐かない。」
「う…うえぇー…三成ぃぃ…絶対…約束ぅぅ…うえぇー……。」
「ただいま。」
「半兵衛様、何故ここに…。」
「いつまでたっても病院に戻って来ないからね。一体どうしたんだい?」
「それが……。」
「成る程、夢女君がね…。それで夢女君は?」
「はい。先刻寝たところです。それ故そちらに向かえず…。」
「かまわないよ。賢明な判断だ。……三成君達は夢女君の家族の事、聞いてないのかな?」
「家族…?」
「そうだよ。君達が来る前…僕達が来た時、夢女君のご両親は既に他界していてね。夢女君はお祖父様とお祖母様と共に暮らしていたんだ。お二人には秀吉も僕も此方に来てから随分と世話になったよ。それからお二人も事故で亡くなられてね。彼女は何度も家族を失っているんだ。」
「……。」
「その頃、夢女君は一人で暮らすには幼かったからね。これからどうするか、って時に秀吉と僕が引き取る事になったんだよ。と言っても僕達も不安定な存在でもあるし…そのせいかな、夢女君は僕達が居なくなる事に対して怖がるようになってね。昔の話だしもう大丈夫だと思っていたのだけれど…。」
「……そうだったのですか。」
「今日はお祖父様の兄さんが急に倒れたからね、急いでいたとはいえ、夢女君への連絡を忘れてしまっていた僕の責任だよ。」
「いえ、そんな事は…。」
「ふふ、構わないよ。さて、秀吉達に連絡してくるよ。君は夢女君の側に居てあげてくれ。目覚めた時、また一人だと心細いだろうからね。」
「はい!………。」
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