お礼


「夢女、今空いておるか?」

「どうしたん刑部。今日は何も予定ないよ。」

「ならばわれと街に行かぬか。」

「えっ珍しい!いいの?行く!ちょっと待って、準備するから!」




「おまたせー。つい気合い入れちゃった。どこ行くん?」

「先刻ぬしにこれを貰ったであろう、その礼をな。」

「これってマフラー?いいの?やったー!」

「何が欲しい?何でも買うてやろ。」

「そうやなぁ…じゃあ…。」



「ほんに其れだけでよかったのか?」

「うん、丁度髪留め欲しかったんよ。いいの見つかってよかったー。」

「して、どの様な物を選びやった?」

「じゃじゃーん!見て見て。蝶々モチーフのやつにしてん。」

「ほう。」

「ほら、こうやって着けると刑部とお揃い風になるんよ。いいやろー。」

「……。」

「あれ、もしかしてお揃い嫌やった?」

「いや…ヒヒッ…ぬしとお揃いか…。」

「そう。良くない?」

「よう似合うておる。」

「えへへっ。」

「しかし夢女よ、お揃いの事は皆には秘密よ、ヒミツ。」

「え、何で?」

「三成が焼きもちを焼く故なぁ。それに太閤も賢人もぬしの事については殊更厳しい故。」

「ふーん。よくわかんないけどわかった。」






「夢女君、新しい髪留めかい?」

「流石半兵衛!気づくのが早い。かわいいやろー?」

「そうだね。それは…蝶かい?」

「そう、気に入ったから買ってもらったんよ。じゃあいってきまーす。」

「いってらっしゃい。………さて、大谷君に話を聞かないと、ね。」




 





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