文化祭


「三成様ー!ここ!ここ空いてますよー!」

「煩いぞ、左近。席などどこでもいい。」

「いやいや!夢女ちゃんのせっかくの晴れ舞台っすよ!一番いい席で見ないと!」

「そうだよ、三成君。しっかり撮影しないとね。」

「も、申し訳ありません!」

「半兵衛、撮影なら我がやろう。」

「秀吉様、それならば私が…」

「かまわん、三成。」

「ですが…」

「ふふっ、いいんだよ、三成君。秀吉自身がやりたいのだから。」

「そうですか。」

「(コソッ)…刑部さん、秀吉様も半兵衛様も以前に比べて随分変わりましたよね。」

「ヒヒッほんになぁ…。」

「秀吉、そろそろ始まるようだよ。」

「あぁ。」







「これって何の話なんすか?」

「新撰組のようだね。夢女君は吉原の遊女の役みたいだよ。」

「へー……なかなか夢女ちゃん出てこないっすねー。」

「話の流れ的にはそろそろじゃないかな。……ほら、出てきたよ。」

「へぇ、夢女ちゃんの着物姿似合ってるっすね。ねぇ、三成様。」

「……………。」

「三成様?」

「…………。」

「?」








「皆ー!見ててくれたー?」

「夢女君、おつかれさま。君の勇姿は秀吉がしっかり撮ったからね。」

「ありがとう、秀吉!帰ったら見ようっと。って言っても出番は数分だけなんやけどな。」

「にしてもその着物、すげぇ豪華だな。」

「そうそう。クラスに親戚が京都で貸衣装やってる子がいて、格安でレンタルしてもらってるんよ。こんな凄いのなかなか着られへんからなぁ。似合う?」

「よく似合っている。遊女の衣装というのがひっかかるがな。」

「ありがと!秀吉!なぁなぁ、刑部は?どう?」

「よう似合うておる。普段の姿からは想像つかぬ程な。」

「う、褒められてるのかけなされてるのか…。」

「はて?われは絶賛しておるのに、伝わっておらぬとは…。」

「うん、まぁお世辞でも嬉しいってことで。ありがとう!」

「世辞でなく本心よ、ホンシン。ほれ、三成など放心してた程よ。」

「え?」

「なっ、刑部!私はっ!」

「確かに、さっき俺が話しかけても全然聞いてなかったっすもんね。」

「あれはッ…」

「そうなん?マジで?三成どう?似合ってる?綺麗?」

「……よく似合っている。」

「やたー!三成に褒められたー!秀吉、今のビデオ撮ってた?永久保存版やで!」

「なっ!貴様……!」

「無論だ。」

「ひ、秀吉様?!」

「へへっ、じゃあそろそろ着替えてくるわ。片付けもあるから一時間くらいかかるかも。みんな好きにうろうろしてて。」

「わかったよ。焦らなくていいからね。」






「遅くなってもうた。皆どこやろ?」

「夢女ちゃーん!」

「あ、左近ー……!?」

「夢女ちゃん、おつかれー。」

「ちょっなに!?どうしたん!その格好!…ってぎゃーーー!半兵衛も!三成と刑部まで!カメラ!ケータイ!」

カシャッカシャッ

「手芸部が手作りの制服で貸衣装をやっていてね。左近君がどうしてもって言うから。どうかな?」

「いや、半兵衛様もノリノリだったじゃないっすか。」

「んもーーー最高!左近ナイス!!でも秀吉は何で着てへんの?」

「あー…秀吉様は丈がちょっと…」

「…ドンマイ、秀吉!そんな大きな秀吉も好きだよ!とりあえず来年は秀吉サイズの制服を作るように言っとくな。」

「う、うむ…。」

「なぁ、せっかくやしみんなで写真撮ろう!誰かおらんかな……あ、ちょうどいいところに!遠藤くーーーん!」

「「「「「!!」」」」」

「あ、夢野。どうしたん?」

「今時間ある?」

「え!あ、もちろん!」

「よかったー。悪いねんけど写真撮ってくれへん?」

「え、なんや…そんなこと…いいで。」

「よかったー。ありがとう!」



「三成君。あれが先日、夢女君が言っていた遠藤君かい?」

「そうです、半兵衛様。奴です。」

「なるほどね。」

「なるほどなぁ。」



「皆、撮ってくれるってー。ん?どうしたん?」

「なんでもないよ。それより彼は?」

「うちのクラスメイトの遠藤君やで。」

「そうか。いつも夢女君がお世話になってるね。」

「あ…いえ、全然、こちらこそ。えっと…夢野のお兄さん?」

「そう、うちの家族。」

「そ、そう。どうも…。(何?!皆のこの威圧感!コワイ!)」

「どうしたん?」

「いや、何でもない…写真撮るわ。」

「そうやった、皆並んで。笑顔でねー。特に三成。」

「黙れ。」

「撮りまーす。はい、チーズ…」

「ありがとう!」

「ありがとう遠藤君、助かったよ。先日も夜に夢女君を送ってくれたみたいだね。」

「あ、いえ。」

「夢女君は僕達の大事な大事な一人娘のようなものだからね。もしものことがあったり悪い虫がつくのも困るんだよ。」

「はぁ…」

「どちらかと言うと夢女君に何かあると黙っていない彼等の方が困るんだけどね。君も気を付けたまえ。」

「……。」

「半兵衛ーどうしたん?あっこの屋台行こうってー。」

「あぁ、今行くよ。それじゃあ…ね。」

「あ、はい…。……………イケメン彼氏達…か…。」



「半兵衛、遠藤君と何話してたん?」

「いや、いつも夢女君がお世話になっているようだからね、くれぐれもよろしくってあいさつしといたんだよ。」

「ふーん…?」

「………こえー…」




 





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