テスト
「キバナさん、次はいつキャンプに付き合ってくれるんですか?」
「お前はまーた言ってんのかよ。次は次はって、キャンプなら一昨日したばっかじゃねえか」
「もう一昨日も前ですよ!じゃあ明日は?明後日は?」
「あのなぁ、大人は忙しいの。オレ様はジムのチャレンジャーの相手もしねえとなんねえし、色々面倒くせえ報告もあるんだって」
お子様は気楽で良いよなあ、そう言って笑いながら男は少女の頭をくしゃくしゃと無造作に撫で回す。キバナはいつもそうだった。事あるごとにユウリを子供扱いして、からかうだけからかうと楽しそうに笑いながら軽く去なすだけ。
一昨日はワイルドエリアでキャンプ。昨日は二人で宝物庫の資料の整理。そして今日はバトルカフェでお茶会。忙しい、と言いながらも男は必ず時間に都合をつけて毎日会う時間を作っている。それをわかっているからこそ、少女も我が儘ばかり言っていられないと理解はしていた。頭の中では。
けれど、頭と心は別物だ。寂しい、もっと一緒に居たいと欲張ってばかりの自分とは対照的に、平気な顔をして余裕を見せる彼がほんの少しだけ憎らしい。思わずぶすっとふてくされて椅子の背もたれに寄り掛かると、ユウリの心情も知らない男は愉快げに笑いながらスマホロトムを向けてくる。撮られる、と反射的に身を竦めるよりも先に響いたシャッター音で、間に合わなかった事を悟った。
「…今の絶対変な顔してたでしょ。消してください」
「平気平気、変な顔なんかしてねえよ」
「絶対してました!やだ!消して!」
「あーはいはい、良いから座ってろって」
声を荒げて不意打ちでスマホに手を伸ばしてみても、それすら分かりきっているかのように間一髪で避けられる。遊ばれている、と感じた。おもちゃにじゃれつくポケモンになった気分だ。正直、あまり楽しいものではない。
少女が思わず黙り込んでもう一度ふてくされた顔をすると、男はお決まりの流れで髪を優しく撫でた。こういう時の彼は、嫌いだ。頭を包みこむような大きな手も、子供の反応などお見通しと言わんばかりの得意げな笑顔も、二人の間にある決して縮まらない"年齢"という距離を強調しているようで。…嫌いだ。
「もう子供扱いはやめてください!」
「ただの子供じゃねえって、お子様扱いだよ」
「意味はどっちも同じです!」
───ピロン、ピロン
ぎゃあぎゃあと騒ぐ少女の動きを止めたのは、鳴り響いた通知音だった。音の出所はキバナのスマホロトムらしい。どうやら電話ではなくメールの通知のようだ。話を中断してスマホを確認されるのは仕方がない事なので慣れている。彼はナックルシティのジムリーダー、そして宝物庫の番人だ。こうしてプライベートの時間を共有していても、いつ緊急連絡が入るか分からない。そろそろお開きの時間だろうか、と既に冷め始めている紅茶を一口飲んで、荷物をまとめていると、不意に彼の声が制止に入った。
「おいおい、何してんだ?」
「だって、大人は忙しいんでしょう?だから"暇なお子様"は一人でワイルドエリアに行こうかなーと思いまして」
彼が口癖のように繰り返す単語を強調して言えば、向かいの男は一瞬驚いたように目を見張った後、困ったように小さく笑って「悪かった、怒んなよ」とスマホロトムを無造作にポケットにしまった。そのままのんびりとした動作で椅子の背もたれに寄り掛かった様子からして、どうやらまだ席を立つつもりは無いらしい。まだ一緒に居られる、その事実に思わず緩みかけた頬を無理矢理引き締めて、拗ねた態度を和らげるのはもう少し先延ばしにしよう。
「別にいいですよーだ。無理に引き留めたりしませんから」
「おいおい、ユウリ」
「いつもの意地悪のお返しですー」
「ユウリ」
「キバナさんが怒っちゃだめですよ!私だって意地悪できるんですからね!」
「ユウリ。そろそろ目ェ覚ませ」
え、と小さく声を漏らしてユウリの動きがピタリと止まった。
妙に噛み合わない会話が止んだ瞬間、男の手がすぐ傍に伸びてくる。温かく大きな手で髪を、頬を、首筋を撫でて、その感触にどぎまぎと鼓動を早める少女の細い首に、無骨な指が食い込んで。一瞬、何をされているのか分からなかった。固い指先が的確に頸動脈を塞ぎ、一気に呼吸が困難になって、かひゅ、と掠れた音が漏れる。
「起きろよ、なあ」
何を言っているのか分からない。にこにこと愛想の良い笑みを浮かべながら、男は少女の首に更に指を沈めていく。反射的にもがこうと手を動かそうとしたその時、何故か自分の両腕が頭の上で一纏めにされて吊られているような形になっている事に気付いた。一体、これは何。
有り得ない、理解不能な現象の中、瞬きをして一瞬の暗転を経た後、少女の視界にはカフェの和やかな空間も、柔らかな間接照明も映ってはいなかった。ただ一つ変わらなかったのは、目の前で優しく微笑む男の顔だけだった。
「お、起きた?おはよ」
明るい声。首から離れていく手。一気に肺に入り込んでくる酸素に思わず激しく咳き込むユウリが見たのは、路地裏の暗闇を背負って自分を組み敷いているキバナの姿。
「───ぅああああああああああ!!!!!!!!」
束の間、逃げ込んだ夢と現実の狭間から引きずり戻された少女の絶叫が響き渡る。
引き裂かれたワンピースの残骸から覗く肩や二の腕には痛々しい歯型が赤く浮かび上がり、その白い首筋には指が食い込んだ痕が新たに刻み込まれていた。陵辱され、甚振れた身体は今は固いコンテナの上に横たえられて男の楔に貫かれている。両腕は頭の上で一纏めにされて、手首を拘束する紐が壁際のポールに繋がっていた。
何度、やめてと頼んだことだろう。いやだ助けてと泣き叫び、訳も分からず乞うた許しは聞き届けられないまま、無情にも繰り返し吐き出される男の精をただ受け入れる事しか出来なかった。この男の欲はいつ尽きるのだろうか。底なしの渇望に支配されたこの獣が、満たされる時は来るのだろうか。
「勝手に気ィ失ってんなよ、駄目だろ?身勝手が許されんのは子供だけだ」
「ぅあ、…っ、ひっ!ぁ、ぁあっ、!」
こんな事になるくらいなら、ずっと子供のままで良かった。
少女の嘆きを拒絶するように、胸の突起は男の唾液でぬらぬらと妖しく光り、痛い程にピンと膨張した様子が愛撫の執拗さを物語って立派な"女"に仕上がった事を強調して。成熟した雄が深々と挿さり、膣口が目一杯に広げられる圧迫感で下腹部はひくひくと震えていた。最初こそ痛みと恐怖で固く凝り固まっていた膣壁も、今は肉棒で優しく擦ってやれば途端に甘く切なげな悲鳴が零れるまでに解れて蕩けきっている。
「ぁ、ぅっ、あぁ…っ!や、ぁっ、ひぁ…!」
「ここ、好きなんだろ?」
ひたすら繰り返される律動の中で少女の反応が一段と甘くなる性感帯。内壁のざらついた部分を亀頭の窪みで引っ掛けるように敢えてゆっくりと擦り上げると、途端に弓なりに仰け反る細い身体。未熟なそこにはまだ強過ぎる快感を無理矢理引きずり出され、その刺激に全身を震わせようともキバナが容赦する事はない。的確に敏感な部分を引っ掻きながら、剥き出しになった秘芽を指の腹でぐりぐりと捏ね回す。
「あーっ!!ゃらぁあっ!そこっやぁあ…っ!!」
神経が集中した一点を同時に強く刺激されれば反応は明らかに大きくなった。肉棒を食い千切らんばかりの勢いで締め付けながら嬌声を上げるユウリに、男はほくそ笑みながらぐちゅぐちゅと卑猥な水音を立てて絶頂感を与えていく。少女が一際甲高い声を上げ、それを合図に秘芽をぐっと強く擦り上げると全身に震えを走らせながら果てた。
「なあユウリ、"イく"って感覚が分かるとたまんねえだろ?」
絶頂を迎えたばかりでぐったりと抵抗力を失ったのをいいことに、ずちゅっ、ぐちゅっ、と粘液が絡まる水音を響かせながら男の腰がゆっくりと抽挿運動を再開し始める。元々狭い膣内の刺激は強く、先程の絶頂で精を搾り取るような動きも加わった事で彼自身の限界も近いようで、少女の細い両脚を肩に担ぐと最初から無遠慮に腰を強く打ち付けた。
「ぁぁあっ!ゃあっ!あっ!ぁあっ!!」
既に男の味を知り尽くした子宮口は先端に突き上げられる度に凄まじい快感を生み出し、ユウリの全身を駆け巡っていく。まさに獣の本能のまま一心不乱に彼女の肉体を貪り、肌と肌を打ち合わせながら底無しの快感を求めて男の腰は野蛮な力強さを孕んで。華奢な身体中を走り抜ける快感のあまり、酸素を求める魚のようにパクパクと開閉する唇に熱く濡れた舌を差し込み、小さく縮こまる少女の舌を吸ってはねっとりと絡め取りながら無遠慮に幼い子宮口を突き上げていく。
「…っ、中、出すからな」
「んぅ…っ!んんーっ!!ん、ふ、…っ!!」
既に何度も膣内に吐精しているというのに、敢えて宣告してやればユウリは必死で目を見開きながら拒絶感を露わにして熱い涙を流すのだ。自分にのしかかる重みの下で懸命に暴れてはみても、鍛え上げられた男の力に敵うはずもなく。より一層激しさを増す突き上げに翻弄されながら膣内の肉棒を強く締め付けると、最後に最奥まで突き立てられた動きで男の精が爆ぜたのが分かった。
「ぁ…っぁ、や…っやぁ…っ」
熱い。子宮口にぴたりと添えられた先端から、子種がたっぷりと注がれている感覚に思わず腰が震えた。最後の一滴まで絞り出すように二度三度と緩く抜き差しされる腰の動きが止まる前に、絶頂の余韻が少女の意識を緩やかに奪って瞼を重くさせていく。
やがて完全に伏せられた瞳が見る光景は薄汚れた路地裏から遠ざかり、明るく清潔な街並みへと移ろいで行った。
「キバナさん、キバナさん!」
「何だよー。お前はワンパチみてえだなあ」
ユウリがその名を呼べば、男は心底愛おしげな視線を向けて柔和な笑みを浮かべていく。腰元にじゃれついて抱き着く少女の頭を優しく撫でながら、二人は温かい日差しを浴びて明るい街の通りを歩き続けた。目的地は決めていない。こうして隣を歩く互いの存在を感じて、ただ歩くだけでもこの上ない幸せで満たされていくのだから。
「ユウリは俺様が大好きだな」
「ふふ、はい!どんなに意地悪されても嫌いになんかなってあげませんよ!」
「お、言ったな?その台詞忘れんじゃねえぞー」
嫌いになどなる筈がない。子供扱いばかりされると、ほんの少しだけ怒りたくなる時もあるけれど。それでも温かくて優しくて、いつでも守ってくれるお日様のような彼を、どうすれば嫌いになれるというのだろう。互いにじゃれ合いながら過ごすその一時が仮初であることも知らず、ユウリは束の間の夢の世界に浸っていた。
再び目を覚ます頃には、恐ろしい獣に食い尽くされる現実が待っている事も知らずに。