桃娘パロ
スポンサーとの会合の日は、いつも気が重い。
「いやあ、キバナくん。相変わらずいい飲みっぷりだねえ」
機嫌良く俺の杯に酌をする役員に頭を下げてから、新たにコップに満ち満ちた黄金色の液体を一気に煽ると、相手の表情がまた一段と明るくなるのが分かった。
酒は嫌いではないが、それなりの量を飲めば人並みに酔いもする。それでも俺が杯を空ける度に喜ぶこの男の機嫌を取るために、席とトイレを行き来しながらこの時間を盛り上げるしかないのだ。嘔吐を繰り返したせいで切れた喉に冷たい液体が染みていく。店の壁に掛けられた時計をさり気なく見ると、この店に入ってから既に2時間近くが経過していた。
そろそろお開きにしても良い頃合いだろう。もう一度一気に杯を煽って、空になったそれを通り掛かった店員にそのまま渡すと流石に役員も俺の意図に気付いたようだ。会計を手早く済ませながら、どこか伺うような視線を俺に向けて。
「キバナくん、これからまだ時間あるかな?」
その問い掛けに、一瞬何と答えるべきか迷ってしまう。正直、今の段階で俺の肝臓と喉は既に限界を超えていた。ここから更にもう一軒、となると喜んで付き合う気にはなれないというのが本音だ。かと言ってここで辞退することでスポンサーの機嫌を損ねるのも得策とはいえない。
「…ああ、心配しないで、僕も今日はこれ以上飲めないから。そうじゃなくてね、」
君に紹介したい店があるんだ———そう告げる声の潜め方と、何か秘め事を打ち明けるような表情の変化で、何となく