あなたは悪い人でした


「お前はまだお子様だからな」

それが彼の口癖だった。
初めて出会った日からずっと、子供扱いをやめてくれない。努力を積み重ね、7個目のバッジを手にしてからようやくチャレンジャーとして対峙たいじした時も。激戦の末に彼を打ち負かした時も。決勝戦で再びライバルとして勝負した時も。そして新たなチャンピオンとして君臨する事となった時も。淡い恋心を伝えて、恋人として傍に居る事を許された今この時でさえも。いつもいつも、子供だからと笑ってなすのだ。

「もう子供扱いはやめてください!」

「ただの子供じゃねえって、お子様扱いだよ」

「意味はどっちも同じです!」

大きな彼の足の間に抱え込まれるように座れば、私の体はすっぽりと覆われてしまう。その体格の差が余計に"大人と子供"という図を強調しているようで、さり気なく藻掻もがいてみても、私の行動なんてお見通しだと言わんばかりのそれ以上のさり気なさで彼の腕に抱き竦められて身動きを封じられてしまった。ああ、ずるい。キバナさんのこういうところは、実はほんの少しだけ嫌いだったりする。

「なーにふてくされてんだよ、名前」

「……ふてくされてなんかいません」

「むすっとした顔してんだろ?見えなくても分かるんだぜ」

その言葉通り、彼は私の頭の上に顎を乗せて表情なんて見えていないはずなのに、何故か言い当てられてしまうのが悔しい。黙っている事が肯定となってしまい、頬をつんつんとつつきながらキバナさんは機嫌良さそうに笑っている。「やっぱお子様ほっぺ柔らけー」と楽しげに笑われるのが悔しくて、私は思い切って頬に触れる指先をぱく、とくわえ込んでみた。
いつもやられっぱなしでは