「誘ったのは由衣ちゃんだけなんだけど」と不満げに唇を尖らせた私に「一人も二人も変わんねェだろ」と返したのは敢助くんだった。「それは私のセリフで敢助くんが言うセリフじゃないでしょ」とため息を吐いた私に向かって由衣ちゃんがしょんぼりと眉を下げる。
「ごめんね、名前ちゃん。どうしても来るって聞かなくて…」と言いながら敢助くんをキッと睨んだ由衣ちゃんに苦笑いをしながら「由衣ちゃんは悪くないよ。悪いのはこの二人」と目の前に立つ敢助くんと高明くんをビシリと指差した。
私に指を差されるなり目を瞬かせて「おや、僕もですか」と驚いたような声を上げる高明くんに「えっ何で自分は違いますけど?みたいな顔してるの。当然高明くんも同罪ですけど」とジト目を向ける。
「まあそう言わずに。こちら、貴方の好きなワインです」と徐に背後に隠していた紙袋を取り出した高明くんに「賄賂じゃん…」とため息を吐きながら遠慮なく受け取る。だってワインに罪は無いんだもの。
紙袋の中を覗けば私の好きな銘柄のラベルが目に入って頬が緩む。「あっテメ、何自分だけ怒られないようにしてんだよ」と高明くんに噛みつく敢助くんに「怒られるって分かってるなら事前に連絡くらいしてよ…もう…」と私は何度目かのため息を吐いた。