恥ずかしさを誤魔化すために、いつもよりも速いペースでお酒を飲んでたらしっかり酔っ払ってしまった。「……ごめんなさい」と謝った私の体を支えた萩原さんが「俺らこそ、もっと早く気付けば良かったね。ごめん」と申し訳なさそうに眉を下げる。いえ、全面的に私が悪いです。
水を買いに行ってくれている松田さんを待ちながら、ぐらぐらと揺れる頭の不快感に耐えるように目を閉じる。「おい、大丈夫か」と松田さんの声と共に頬に触れる冷たい感覚。ペットボトルを片手に心配そうに顔を覗き込む松田さんに「へーき、です。ごめんなさい…ありがとうございます…」と謝ってからペットボトルを受け取る。
あ、お金。でも水飲みたい。蓋あかない。なんて思ってみても、酔っ払った頭では全部は処理しきれなくて。ペットボトルを両手で握りしめたまま固まっていれば「香澄ちゃん?」と首を傾げた萩原さんに返事が出来ず「あ、え、えと…」と言葉に詰まって視線を泳がせる。
「とりあえず水飲んどけ、顔白くなってきてんぞ」と呆れた顔の松田さんが私の手の中のペットボトルの蓋を開けてくれる。「あ、りがとう…ございます…」とゆっくりペットボトルに口を付ければ「ゆっくりでいいからね」と萩原さんが背中をさすってくれる。あまりにも情けなくて泣きたくなってきた。
蓋が空いたままのペットボトルを両手で握り締めて俯いていれば「ほんとに大丈夫か?」と松田さんがしゃがみ込んで顔を覗き込んでくる。「意識はあるな。吐き気は?」「ない、です」「頭痛は?」「え、あ、ちょっと…?」と松田さんの質問に答えていけば「ん、水飲んで家帰って寝ろ」と頭をくしゃりと撫でられる。
ぱちぱちと目を瞬かせながら松田さんを見れば「急性かと思って焦っただろーが」と額を小突かれる。「さすがにおまわりさん2人いて、女の子ぶっ倒れさせちゃマズいわな」と苦笑いの萩原さんが「家まで送るよ。どの辺?」と今度は優しく頭を撫でてくれる。
大丈夫です、と断ろうとも思ったが思いのほか酔いが回ってしまってふらつく足取りできちんと帰れる自信は無かった。二人の言葉に甘えて自宅の住所を告げれば「お、何だ。そんなに遠くないじゃん」「酔い覚ましがてらちょっと歩くか」と二人が手を引いてくれる。後でちゃんとお礼をしよう、と心に決めて二人に手を引かれて帰路に着いた。