お皿に乗せられる美味しいお肉に罪は無い。食べて、飲んで、を繰り返すうちに顔が熱くなり酔っ払ってしまった私は萩原さんと松田さんの質問にぽろぽろと答えてしまっていた。「その映像って、いつも見るの?」とお肉を焼きながら尋ねる萩原さんに「いつもって程じゃないですよぉ」とへらりと笑って返す。
今度は「それ、どういう風に見えてんだ?」と松田さんに聞かれて「ほんとにテレビがパッと付くみたいに頭の中に浮かぶんです。ドラマとかアニメ見てる感覚に近いですね」と考えながら答える。こればっかりは説明の仕方が難しい。
うーんと悩みなが答えれば「じゃあ当事者って言うよりも第三者目線なんだ」と萩原さんが納得したように頷くから「そうですね。まあ、その分痛いとか苦しいみたいなのは分からないので安心?して見れるんですけどねぇ」とお酒の入ったグラスを傾ける。
鼻を抜けるアルコールの香りと爽やかなレモンの風味のお陰でいつもよりも沢山お肉が食べれている気がする。またしてもお皿に乗せられた美味しそうなお肉を頬張っていれば「けど、なんだよ」と松田さんが片眉を上げる。質問の意味が分からずに首を傾げれば「安心して見れるけど、の続きがあんだろ」と松田さんも私と同じように首を傾げるから「ああ…!そういうことですか。あー、いや、その大したことじゃないんですよ」と前置きをしてからもう一度グラスを傾ける。
「でも、やっぱり…人が死ぬとこ、とか…怪我するところを見るのは、堪えるなぁ…って思ったりするんですよね」と苦笑いで答えて誤魔化すようにグラスの中身を一気に煽る。「まあ、最近は慣れてきたので…!昔ほど露骨に体調悪くなったり、吐いたりしないのでいいんですけどね…!」と笑って誤魔化した私を、二人は真剣な顔で見つめていた。
「そんなの、慣れちゃダメだよ」と言う萩原さんをきょとんとしながら見つめていれば「俺たちの時も、そうだったんだろ」と松田さんが苦虫を噛み潰したような顔をするから慌てて首を横に振る。「あっ、いや、そういう意味じゃないんです…!お二人は悪くなくて…あの、見ないようにするとか出来なくて、事故みたいなものだから…!」と言葉を並べるけれど二人の顔は晴れないまま。
「嫌な思いも、しんどい思いも、いっぱいしてる中で俺たちのことを助けようって思ってくれて、本当にありがとう」と萩原さんがグラスを握り締める私の手の甲をするりと撫でる。「お前があの時声をかけてくれなかったら、俺たちは間違いなく吹っ飛んでた。ほんとに、ありがとな」と松田さんもゆるりと眦を下げて笑うから、とくとくと胸が音を立てる。
顔の良い二人に微笑みかけられているのもあるけれど、何よりも今まで疎ましく思うだけだった力で誰かを救うことができて、感謝をされている、という喜びが胸を踊らせた。恥ずかしさを誤魔化すように追加のお酒を頼んで、私はお皿の上のお肉にかぶりついた。