だって、止まんないんですもん

「香澄ちゃん!!」と大きな声で名前を呼ばれてハッと顔を上げれば泣きそうな顔をした萩原さんが走ってくる。「はぎ…っ、」わらさん、と続けようとした言葉は遮られて、思い切り抱き締められる。萩原さんの香水の匂いに混じる汗の匂いと、荒い呼吸。

「っ無事で、良かった…!ごめん、一人にして本当にごめんね」と震える声で吐き出された言葉に落ち着いていた涙が再び溢れ出す。「本当に、無事でよかった」とホッと息を吐いた伊達さんの大きな手が頭を撫でて、益々涙が止まらなくなる。

ふるふると首を横に振って必死に貴方たちのせいじゃないと、伝えれば萩原さんがくしゃりと泣きそうに顔を歪める。「守るなんて、大層なこと言っておいて情けねぇな」と自嘲気味に笑った松田さんがくしゃりと自分の前髪を握り締める。

「一番危険な時に、一緒にいてやれなくて悪かった」と頭を下げた松田さんに「…ッまって、やめて、」と声が震える。「ちがうの、松田さんが…っ、みんながいてくれたから私…、不安にならずに済んでたんです…!だから、悪く言わないで、私の大事な人を悪く…っ、いわないで…!」と泣きじゃくりながら伝えれば萩原さんと松田さんが目を丸くする。

「萩原たちが彼女と一緒にいてくれたから、あの男の所在を突き止めることが出来たんだ」と諸伏さんが私の頭をそっと撫でて「彼女に危害が加わる前に阻止できたのは、間違いなく貴方たちのお陰ですよ」と降谷さんが困ったように笑って肩を竦める。

「自分の手で助けてやりたかったって気持ちも分からんでもないがな。結果的に香澄ちゃんは無事だったんだ。お前らがいなかったら、もっと早くに何かが起きてたっておかしくなかったんだぞ」と伊達さんが豪快に笑って萩原さんと松田さんの背中をバシリと叩く。

「ありがとう。萩原さん、松田さん」と泣きながらお礼を言えば二人はぐっと言葉を詰まらせてから泣きそうな顔でくしゃりと笑った。「そう、だね。香澄ちゃんが、無事でほんとによかった」と萩原さんの震える手に抱き寄せられて「お前が、無事で良かった」と安堵の息を吐いた松田さんが私の頭をくしゃりと撫でる。

あの日からずっと、私を守ってくれていた二人の手に肩の力が抜けて涙が溢れ出す。安心したら涙止まらなくなっちゃった、と笑いながら涙を流す私に「泣きすぎて、目真っ赤になってるよ」「これ以上泣いて、目溶けても知らねーぞ」と二人は笑いながら涙を拭おうとしてくれる。「だって、止まんないんですもん…!」と溢れる涙を両手で拭う私の姿に伊達さんや降谷さん、諸伏さんが柔らかく笑っていて、その姿が益々私の涙腺を刺激した。
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