付き纏いの一件以来、物凄く過保護になった皆から帰りは連絡すること、夜は一人で出歩かないこと、何かあったらすぐに連絡すること。全員から何度も念を押されてしまい「わ、わかりましたから…!」と半泣きでストップをかけたのは記憶に新しい。
加えて、事件解決と共に私は萩原さんの家での居候を解消して自宅に戻る事になった。「本当に帰るの?」と聞いてくる萩原さんに「いつまでも居候する訳にいかないですよ」と困ったように笑いながら返せば「だとしても新しい所が見つかってからでもいいだろ」と何故か松田さんからも引き止められる。
「新しい所探すくらいならウチで良くない?」「良くないですよ。何言ってるんですか」と真面目な顔でとんでもないことを言ってのける萩原さんをジト目で見る。渋々、本当に渋々といった様子で頷いてくれた二人に対して「香澄ちゃんが無事でよかったよ。何かあったらいつでも頼ってくれ。香澄ちゃんは、もう私の妹みたいなものだからな」と優しく笑って頭を撫でてくれた千速さんにはうっかり惚れそうになってしまった。
伊達さんは「ちゃんと飯食ってるか?周りで変なこととか、気になることは無いか?」と心配してしょっちゅう連絡をくれるし、伊達さんの紹介で仲良くなったナタリーさんとはお茶飲み友達だ。「なにか困ったことがあったらいつでも言ってね。航のこともこき使っちゃっていいからね!」と優しく笑ってくれて安心したのがついこの間のこと。
降谷さんと諸伏さんは以前よりもよく顔を合わせるようになった。「これ、美味しそうだなと思って買ってきたんだ」と有名店のスイーツをぽんぽん買って私の冷蔵庫に入れていく諸伏さんと「香澄さんには返しきれないほどの恩がありますから」とポアロに行くたびにサービスと称して何かしらを奢ってくれる降谷さんのせいで私の体は肥えてしまいそうだ。
このままだと降谷さんと諸伏さんのせいで太ってしまう。「……体重計に乗るのが怖いです」「何で?」「萩原さんを筆頭に皆さんが私に食べ物を与えるからですよぉ…」とポアロで項垂れた私の前には萩原さんが注文したケーキと、降谷さんがサービスだと言って持ってきてくれたクッキー。
美味しいよ。美味しいけれどもね!?さすがに食べ過ぎだと思う。「家にも色々あるのに…外でも食べて家でも食べてる…!」このままじゃ間違いなく太る!と呟いて、せめてもの抵抗で注文したストレートアイスティーをずず、と啜る。
そんな私に「あん時だいぶ痩せたんだからプラマイゼロだろ」と松田さんが眉間に皺を寄せるから「プラマイプラだから言ってるんです!」と頬を膨らませれば「プラマイも何も、香澄ちゃんって会ったばかりの時からすっごい痩せてたよね?」と諸伏さんが首を傾げてくるから「痩せてないですよぉ…!そういう風に見えるような服を着てただけです…!」と言いたくもない真実を暴露する。
こんなこと言わせないでよ!と思いながらケーキに手を伸ばしてハッとする。「それもこれもケーキが美味しすぎるせいだ!」と責任転嫁をした私に「あははっ、じゃあ悪いのは僕ってことになっちゃいますね」と降谷さんがクスクス楽しそうに笑ってから「お詫びにアイスティーのおかわりはいかがですか?」と聞いてくる。魅力的な提案にまんまと頷いた私を見て皆が声を上げて笑うから「もう!」と再び頬を膨らませた。