十分ポンコツだろ

(Side:諸伏)

ゼロがこの世の終わりかと思うほど酷い顔で帰ってきた時は「お前今日どこ行ってたの?」と思わず聞いてしまいそうになった。その言葉を何とか飲み込んで「何かあった?」と聞いた俺は、ゼロから事の顛末を聞いて盛大にため息を吐いた。

「お前の言い方が悪い」とバッサリ切り捨てた俺に「ぅぐ、」とゼロが項垂れる。「ゼロがそう思ってること自体を間違いだとは言わないけどさ、香澄ちゃんがどう思ってるか全部無視して押し付けるのは違うだろ」とため息混じりに言えば「彼女の気持ちを無視した訳じゃない」と子供のようにゼロが不満そうな顔をする。

「でも、そう思わせるような言い方をしたのは間違いじゃないんだろ?」と尋ねれば「…それは、まあ、そうだけど…」と益々表情が不満そうに歪められる。「分かってるよ。お前がオブラートに包んで物を言うのが下手くそなことは」と言えば「もっと他に言い方あるだろ!?」とゼロが声を荒げる。

「もっと他に言い方あるだろって思えるなら、何で香澄ちゃんと話す時にそう思ってあげられないんだよ」と遠慮なくゼロの心を刺せば見事にクリティカルヒット。返す言葉も無かったようで大きな溜息を吐いてから頭を抱えてしまった。やってしまった、という自覚はあるようで何よりだ。

香澄ちゃんの方はたまたま居合わせたらしい萩原がフォローしてくれているようで、ゼロに酷いことを言ってしまったと後悔して泣いていたそうだ。全く、これではどっちが歳上か分かったもんじゃない。

「いいか、ゼロ。喧嘩は自分の言い分を押し付けるんじゃなくて、自分の言い分も相手の言い分も全部ちゃんと聞くとこから始まるんだ。香澄ちゃんの気持ちは聞けたんだから、今度はゼロの素直な気持ちを話してこい」と項垂れるゼロの背中を思い切り叩けばバチリと痛々しい音がする。

「い゛ッ、!?」と飛び上がったゼロに「仲直り、ちゃんとして来いよ」と笑えば「…ああ、ちゃんと、話してくるよ」と穏やかな表情でゼロが微笑んだ。「あ、あと萩原にもお礼言っとけよ」「萩原?何で?」「お前に傷付けられて一人でぼろぼろ泣いてた香澄ちゃんのメンタルケアをしてくれたのは萩原だからな」「……おい、ちょっと言い方キツくないか?」

「そりゃあ親友のゼロは大事だけど、命の恩人の可愛い女神様も大事だもん。泣かされたって聞いたら黙って見てる訳にはいかないじゃん?」「…悪かったよ。本当に、泣かせるつもりじゃなかったんだ」「分かってるよ。それにしても安室もバーボンも女の子の扱い上手なのに、なんで降谷だとこんなにポンコツになるんだろうな」「ポンコツ言うな」「弱ってる女の子泣かせてんだから十分ポンコツだろ」「うぐ…」
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