小さな友人に偶然出会う

「あれ、香澄さん?」と声をかけられてくるりと振り返る。こてんと首を傾げた小さな友人の前にしゃがみ込んで「こんにちは、コナンくん」と挨拶をすれば「こんにちは!」と元気なお返事。うん、今日も元気で可愛いね。

「一緒にいるのは、お友達かな?こんにちは」とコナンくんの隣に立つ可愛らしい女の子にも同じように挨拶をすれば「こんにちは」と綺麗な落ち着いた声で返される。「私、香澄っていうの。あなたのお名前、聞いてもいい?」と首を傾げると、ちらりと私を見てから小さな声で名前を教えてくれる。

人見知りなのかな?ふい、と逸らされた視線にちょっぴり寂しくなりながらも「よろしくね。哀ちゃんって呼んでもいい?」と笑いかければ「好きにしたら」と素っ気なく返される。あら、と目を見開けば「あー…っと、灰原は人見知りで…!ごめんね!香澄さん!」とコナンくんが慌てたように私と彼女の間に割って入ってくる。

「ううん。私こそ、突然知らない人に話しかけられたらびっくりしちゃうよね。ごめんね」と謝れば、ちらりと私に視線を向けた後、ふいっとまた逸らされた。なんだか猫ちゃんみたいで可愛いなと思いながら哀ちゃんを見つめていれば「香澄さんはどうしてここに?買い物とか?」とコナンくんが私の袖をくいっと引っ張る。

「友達と買い物に来たんだけど、ドタキャンされちゃって。折角だし、と思って色々見てたの」と肩を竦めながら答えれば「そうなんだ!何か良いものあった?」とコナンくんが首を傾げる。

「う〜んあんまり。下の階の化粧品見て帰ろうかなって思ってたとこ」と笑いながら返せば、先程まで興味なさげに欠伸をしていた哀ちゃんの視線が揺れたのが分かった。もしかして、化粧品とか気になるのかな。

私も小さい時お店の前を通る度にワクワクしてたなぁ…と思い返しながら「そうだ!二人とも時間あるならちょっと付き合ってくれない?」と言えば二人の目がきょとりと瞬く。「哀ちゃん、とっても大人っぽくて綺麗だから、一緒に見て欲しいなぁって思ったんだけど…どう?」ともう一度尋ねれば「僕はいいけど…」とコナンくんが哀ちゃんをそろりと見る。

哀ちゃんはと言えば驚いたように目を見開いて「……どうして?私、どう見てもまだ化粧するような歳じゃないじゃない」と怪訝な顔をするから「可愛くなりたい、綺麗になりたいって気持ちに大人も子供も関係ないよ。それに、化粧品売り場ってキラキラでワクワクしちゃうじゃない?哀ちゃんも、そういうの好きかなって思ったんだけど違った?」とくすくす笑いながら手を差し出す。

「どう?一緒に行かない?」と言えば、ちょっぴり恥ずかしそうにふいっとそっぽを向きながら「……ちょっとだけよ」と手を取ってくれる。「やったぁ!コナンくんも、ちょっとだけ付き合ってね」とコナンくんにも手を差し出せば「へ!?あっ、う、うん…」と驚いたように私と哀ちゃんを交互に見てから、そろりと私の手を取った。

「よーし!それじゃあしゅっぱーつ!」と二人の手を引いて歩き出せば、二人も一緒に着いてきてくれる。思いのほか、哀ちゃんとのショッピングが楽しくなっちゃってコナンくんがげんなりすることになるのはもうちょっと後のお話。

そして、連絡先を交換した哀ちゃんが定期的に一緒にお出かけをする可愛い小さなお友達になるのはもう少し先のお話。
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