あの日の真実

私が撃たれた日の事件は、各国を巻き込む大きな事件の内の一つだったらしい。

「僕と関わりのあった君を攫うことで、僕を誘い出そうとした奴らが起こした事件だったんだ」と苦虫を噛み潰したような顔で私に話した降谷さんは、私の手をぎゅっと握って「だから、君がいらないと言ったとしても謝らせてくれ。本当に、すまない。君を巻き込むつもりはこれっぽっちも無かったんだ」と本当に申し訳なさそうに眉を下げた。

そんな降谷さんにお前のせいだ、なんて言える訳がない。「降谷さんが、私を危険から遠ざけようとしてくれてたのはちゃんと分かってます。でも…」と言葉を切った私に降谷さんは「分かってる。ぶん殴られてもおかしくない」と私に向かってさぁ殴れと言わんばかりに頬を差し出すから思わずふは、と笑ってしまった。

「殴りませんよ。ただ、私を危険から遠ざけるために降谷さんが危険な目に遭うなら一緒に巻き込んでくれた方がマシって言いたかったんです」と降谷さんの両頬をぺちりと手のひらで挟む。

きょとりと目を見開く降谷さんに「皆さんも同じこと、言うと思いますよ。蚊帳の外にされるの、案外寂しいんですからね」と肩を竦めてわざとらしく悲しげな声を出せば、今度は降谷さんがふは、と吹き出して笑った。

「…ああ、アイツらにも言われたよ。一人で突っ走るなって」と困ったように眉を下げた降谷さんに「ほら、やっぱり」と笑えば「君は本当に、何でもお見通しだな」と前髪をくしゃりと握って小さな声で参ったな…と呟く声が聞こえてくる。

「私も、皆さんも、降谷さんのことが大好きなだけですよ」とくすくす笑いながら言えば、降谷さんはぽかんと目を見開いて固まる。「だいすき…?」と私の言葉を繰り返した降谷さんに「そうですよ。みんな、降谷さんが大好きだから心配なんです。頼って欲しいって思うのも、頼りたいって思うのも、大好きの証ですよ」と笑えば「…そっ、か」と降谷さんが嬉しそうにくしゃりと笑う。

本当に嬉しそうな、優しい笑顔を浮かべる降谷さんに「降谷さんも、皆さんのこと大好きでしょう?」と今度は私が降谷さんの両手をぎゅっと握り締める。「ああ、そうだな。うん…僕も、アイツらが、君が…だいすき、だよ」と、まるで小さな子供がプレゼントを貰った時のように降谷さんが笑った。
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