嵌められたのだ

「香澄ちゃん?お〜い聞こえてる〜?」と顔を覗き込んでくる萩原さんからぐりんと顔を逸らす。「無視とは生意気なことするじゃねぇか」と片手でむぎゅりと頬を掴んで顔を合わせてくる松田さんから逃げるようにぎゅっと目を瞑る。

「この状況で目瞑るバカがどこにいんだよ!」と松田さんが大声を出したかと思えば、額に襲いかかる痛み。「い゛ったぁ…!?」と額を押さえて目を開ければ「ん〜〜今のは香澄ちゃんが悪い」と口元を押さえてなんとも言えない顔をした萩原さんと「お前マジでそれ他の男の前でやんなよ」と松田さんが怖い顔で私を見る。

「な、なんで…!無視してるのに…!リアクションしてないのに…!なんで構ってくるの…!?」と衝撃を受けて固まれば「はぁ?何言ってんだお前」と松田さんが怪訝な顔をして「俺たちに構って欲しくなくて無視してたの?」と萩原さんがクスクス笑いながら私を見る。

「そ、そうですよ……」とたじたじになりながら返事をすれば「あははっ!香澄ちゃんに良いこと教えてあげよっか」と萩原さんが楽しそうに言う。「……なんですか」と警戒しながら返事をすれば「俺も松田も、逃げられると追っかけたくなるタイプなんだよね」と悪い顔で微笑みかけられて「ひぃっ」と口から悲鳴が零れる。

「わ、私の、リアクションを楽しんでるんじゃないんですか…!」とズザザッと勢いよく後ずさって抗議の声を上げれば「はぁ?」と松田さんが首を傾げる。「私が…つまんなくなれば…構われなくなると思って…」ともごもごしながら返せば「俺らがお前の反応見る為だけに構ってる訳ねーだろ」と鼻で笑われる。

「……えっ」と声を漏らせば「なんで俺らが香澄ちゃんに構うか知りたい?」とクスクス笑いながら萩原さんが近付いてきて「この際ちゃんと教えてやろうか」と松田さんも笑いながら近付いてくる。

「い、い…っいら、いらない!!いらないです!!」とぶんぶん首を横に振って拒否すれば「ぷっ、あっははは!!ほんと香澄ちゃんはいい反応してくれるなぁ」と萩原さんが声を上げて笑って「耐え症ねぇな、お前。秒でリアクションしてんじゃねぇか」と松田さんは肩を震わせて笑っている。

そこで気付いた。嵌められたのだと。「なっ…な、…っ!?萩原さんと松田さんのばかぁぁああーー!!」と叫んだ私に、二人はお腹を抱えて大笑いしていた。
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