「おや、今度は僕たちがターゲットということですか」とクスクス笑う安室さんと「え、あの二人相手で懲りたんじゃなかったんだ」と驚いた顔をする諸伏さんの前で私はふいっと顔を逸らして無視の姿勢を貫いた。あーあー聞こえなーい。
「僕たちも貴方のリアクション見たさに構っているような人間だと思われている訳ですか。悲しいですね」と楽しそうな声色の安室さんが両手で顔を覆ってしくしくと泣き真似を始める。ちょっっと待って。恐ろしいことしないで。
「誤解を招くような発言しないでもらえます!?」とすかさず声を上げた私に「無視出来てないじゃん」と諸伏さんが声をあげてけたけた笑う。うるさいうるさい。諸伏さんは無視します。
「安室さん自分の人気度考えて…やめて…私が死んだら真っ先に安室さんのファンクラブが疑われるからね…」とテーブルに突っ伏せば「俺のことはしっかり無視しようとするじゃん」と不満そうな声で諸伏さんが私の頭をぽふぽふと撫でてくる。
「さわらないでください」とくぐもった声をあげれば「聞こえないなあ」とわざとらしい声の後に「俺たちだって君のリアクション見たさに構ってる訳じゃないよ」とすぐ耳元で声がしてガタリと椅子から立ち上がる。
手で耳を押さえながら諸伏さんを見ればしてやったりと言わんばかりの顔で笑っている。な、なんてタチの悪い悪戯をしてくるんだ、この人…!わなわなと震えながら安室さんを見れば「勿論、僕も同じですよ」と微笑みかけられて逃げ場が無い。
「なっ…なん、なんですか!!ほんとに!!ばか!!」と言うに事欠いて小学生のような返しをした私に二人はけらけらと楽しげに笑って「可愛い反応するよなあ」「すみません、少し揶揄いすぎました」なんて言ってくるから「〜〜ッもう知らない!!」とそっぽを向く。
「ごめんごめん。好きなケーキ奢ってあげるから許して?ね?」とメニューを差し出してきた諸伏さんに「……一番高いの頼んでやる」と呟けば「ははっ、何個でもいいよ」とノーダメージで笑いかけられる。
「先日ダイエットするって仰ってませんでしたっけ?」と肩を竦める安室さんに「うるさいです。明日からやるんです」と返せば「先日も同じセリフでしたよ」と返されて「うるさいですよ!!」と何度目かの大声を上げることになった。