目が覚めたら病院だった。体を起こしてキョロキョロと辺りを見回して、それから自分の体を見る。「あっ…これもしかして死んだ…?」と手をぐーぱーと開いたり閉じたりしてみる…けれど、死んでいる感じは無い。
死んでる感じって何ですかね。こういう時って、何かこう、看護師さんとか呼んだ方がいいのかな。「……ぅぇぇ…こういうの押すの抵抗ある…」と躊躇っていればガラリと病室のドアが開く。
「ひぃっ」と悲鳴が出て部屋に入ってきた諸伏さんとバッチリ目が会う。「び、びっくりした…」と呟いた私を見て「よ、かったぁ…」と安心したように脱力した諸伏さんがへにゃりと笑う。
「今、先生呼んでくるから待っててね」と一度閉められた扉を見ながら「……死んでなかった」と小さく呟いた。聞いた話によると、解体完了を目前に私は意識を失ってぶっ倒れたらしい。
ギリギリ滑り込みで駆け付けてくれた萩原さんが私を保護、最後のコードを切って何とか間に合ったとのこと。そして病院に運ばれて眠り続けること3ヶ月。「3ヶ月!?!?寝すぎでは!?!?」と思わず声が裏返った。
大した怪我もしていないのに3ヶ月も眠りこけるとは恐れ入った。そりゃ目が覚めた私を見た諸伏さんもびっくりするわ。「目が覚めないのは精神的な物が原因だろうって。松田が俺が解体させたせいだって落ち込んでたから、後で慰めてやって」と頭をぽんと撫でられて「うぐ…」と唸る。
た、確かに…電話越しでいきなりぶっ倒れられたら松田さんが気に病むのも無理は無い。無理は無いけど…わ、私が慰めなきゃダメですか…。イケメンを慰めるなんて到底私如きに許される所業ではないのでは???なんてアホなことを考えていれば病室の外がドタバタとうるさくなる。
「お、来た来た」と楽しそうに笑った諸伏さんを見て「……まさか」と頬が引き攣る。「香澄ちゃんが起きたよってメッセージ送っただけだから」と綺麗な笑顔と綺麗なサムズアップ。全然嬉しくないですね。
というか皆さんお仕事は如何程に???終わったわ、と呟いたのと同時に扉がスパーーンッッ!と開かれて大の大人が雪崩れ込んでくる。「香澄!!」「香澄ちゃん!!」と一際デカい二人の声と共に目の前が真っ暗になって「ぐえぇ」と蛙が潰れたような声が出た。