器用に地雷だけを踏み抜いていく

病室に入ってくるなり私を勢いよく抱き締めた萩原さんと松田さんに「死にます死にます!!ぐぇぇ…」と必死に訴えて何とか離れてもらう。ここが私しかいない病室で良かった。他の人に見られてたら間違いなく刺されてる。

「何なんですかマジで。目覚めて早々に死を覚悟することになるとは思いませんでしたよ」と文句を言えば「お前なぁ…ッ!!俺たちがどれだけ心配したと思ってんだ!!」と松田さんが声を荒げる。

「チッ…!クソッ…!俺が!!……ッ、お前を殺すとこだったんだぞ…!」と泣きそうな顔でぐしゃりと顔を歪めた松田さんに言葉を失っていれば「……香澄ちゃん、怖い思いさせて本当にごめん。俺たちが、もっと早く到着できてたら香澄ちゃんにあんな事させなくて済んだんだ。香澄ちゃんは、もっと怒っていいんだよ」と隣で萩原さんも泣きそうな顔をする。

いつもと様子の違う二人に困って助けを求めるように諸伏さんを見れば「ん?」と笑顔で首を傾げられて諦めた。この人助ける気無いな???視線を二人に戻して「え、っと…」と口を開く。なんて言ったらいいんだ。

言葉に迷って口をぱくぱくと開いたり閉じたりさせて、一度口を噤む。それから小さく息を吸って口を開く。「ぶっちゃけ、死ぬほど怖くて終わったなと、思ったんですけど…その、松田さんが電話越しに大丈夫って言ってくれたのは、安心した…というか、あと、萩原さんも、来てくれたし…結果的に、いきてるし、まあ…いいかな、って…」ともごもこ話す。

なんだこれ、何かめちゃめちゃ恥ずかしいぞ。言葉を続ければ続けるほどじわじわと顔が熱くなる。「……たすけて、くれて、ありがとうございます…」とぷいっとそっぽを向きながらお礼を言えば、病室内に謎の沈黙が訪れる。

「な、なんか言ってくださいよ!!!」と半泣きで声を上げた私を再び二人が抱き締めてくるから「ぐぇっ、えっくるし、」と声が出る。「バカじゃねーの」と松田さんの声に「は?今の流れで?」と眉間に皺を寄せれば「香澄ちゃんが可愛くて大好きって意味でしょ」と萩原さんのご機嫌な声が聞こえてくる。

何ですかその恐ろしいの、止めてください。「無理無理無理、まじで無理待って何それ。何で、どこでそうなっちゃったんですか!?諸伏さん見てないで助けて!?!?」と背後から刺される恐怖に震えながら諸伏さんに助けを求める。

けれど「ハハハッ!ほんっと、君は器用に地雷だけを踏み抜いて歩くよね」と褒められてるのかバカにされてるのか分からないセリフと共に笑われる。その後しばらく抱き締められたまま、私がマジで泣き出すまで解放してもらえなかった。
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