やっぱり慣れって怖いですね

「香澄さん、イケメン平気になったの?」と首を傾げたコナンくんにぴしりと固まった。「な、なぜ…?」と怯えながら尋ねれば「だって、萩原さんたちと話す時あんまり緊張しなくなってるよね?」と恐ろしい指摘をされてしまい、思わず辺りを見回した。

「……何してるの?」と呆れた顔をするコナンくんに「あんまり滅多なこと言わないでコナンくん!!私が刺されたらコナンくんのせいだからね!?」と叫び声を上げれば「小学生相手に何言ってるんですか。止めなさい」と安室さんが私の頭にチョップを落とす。

「きゃーー!?またすぐ!!すぐそういう事する!!安易に触れるなと何度言えば分かるんですか!?」と悲鳴を上げて椅子から飛び上がる。「僕の気のせいだったみたい。何でもないよ、ごめんね、香澄さん」と呆れきった顔のコナンくんに謝られて「謝るくらいなら最初から怖いこと言わないで!!コナンくんは何??色恋沙汰には疎いの??デリカシーの無いこと言ってると好きな子に嫌われちゃうから気をつけな??」と大人気なく返す。

私の大人気ない返事に今度は安室さんから呆れたような目が飛んでくるけどそんなの知らない。「は、はァ!?な、ど…っ、す、好きな子とかいないから!!」と真っ赤な顔で反論してきたコナンくんは自業自得だ。

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自宅に諸伏さんがいることに慣れすぎた弊害だった。「香澄ちゃん、口の端付いてるよ」と指摘をされて指先で拭うと「逆逆、こっち」と諸伏さんの手が伸びてくる。いつもならその手を払い除けて気安くそういうことをするな!と文句の一つや二つや三つ、言っていたはずなのに。

「ん、」とその手を受け入れてしまった。驚いた顔をしながらも頬に付いたクリームを取ってくれた諸伏さんを見て、我に返った。ガダダッ!と音を立てて立ち上がり「い、今のはぼーっとしてただけです!!」と誰に聞かれてもいないのに宣言をする。

「外でそういう軽率な事しないでください!!刺されたらどうするんですか!!」と真っ赤な顔で怒る私に「ふっ…ふはっ、あははっ!」と諸伏さんが声を上げて笑う。お店の中にいた安室さんまで「おや、随分と仲良くなったんですね」と笑ってくるものだから「きゃーーー!?!?おっそろしいこと言うの止めて!!ほんとやめて!!」と文句言う私を見て「今油断してたね」と諸伏さんが片肘を付いてくすくすと笑う。

止めて、本当に止めて。そんなの私が一番よく分かってんですよ。とは言え、そうですねとは言えない。だって油断って何?実は仲良しってこと?みたいな勘繰りが発生しかねないから。

「してませんけど!?!?」と言い返した私に「妬けますね。僕にはいつまで経っても油断してくれないのに」と安室さんが火に油を注ぐ。「安室さんマジでもう喋るの止めてもらっていい?諸伏さんもニヤニヤすんの止めてマジで止めて」と両手で顔を覆ってしくしく泣く。

ぶっちゃけ、ヤバい奴らに狙われてますとか言われてもヤバい奴が何だかよく分からないので、目に見える所にいるイケメンのガチファンの方が5億倍怖いと思ってる。今この瞬間だって私の姿が撮られてて大炎上を巻き起こしてるかもしれないんだから。

「いっそ殺せよ…」と項垂れる私の頭を諸伏さんが「またそうやって…」と呆れた様子でため息を吐きながらぽんぽんと撫でる。「だから触んないで…軽率にそういうファンサしないで…もう無理…顔上げたら盗撮されて炎上して背後から狙われて刺されるか狙撃されるかどっちかだ…」とぶつぶつ文句を言う私に「本当にそういう想像力は豊かですね、あなた」と安室さんが苦笑いを零した。
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