私が一体何をしたというの。既に数えることを止めた事件への遭遇回数。今回に至っては容疑者の仲間入りを果たした。こんな実績解除したくなかった。ため息を吐いて椅子に腰かけていれば、目の間にすこぶる顔の良い男の子がやって来た。
「お姉さんは事件が起きた時何してたの?」と可愛らしく首を傾げられて「ひ、ひぃぃ……い、いけめんの遺伝子……絶対だめ、この子だめ、こわい」と口元を手で覆ってがたがたと震える。
「お姉さん?どうしたの?顔色悪いみたいだけど……」と私に向かって手を伸ばした男の子を見て思わず「きゃーー!?!?」と悲鳴が零れる。そんな私に目を丸くして固まった男の子の背後から現れた松田さんに「小学生相手に何してんだお前は」を頭を叩かれた。
「mtdさんもいる……!?終わったもう無理……さよなら私が犯人でいいですもう……」と驚きで目を見開いてから両手で顔を覆う。もうどうにでもなれ。容疑者への仲間入りの次は殺人事件の犯人の仲間入りですか。
溜め息と共に吐き出された私の言葉に男の子は「はァ!?えっ、ちょっとお姉さんそれどういう意味!?」と目を見開いて驚く。松田さんはと言えば、私の発言がいつものだと分かっているからか呆れた世にため息を吐いて額に手を当てた。
「良くねーよ、バカ。お前さっきまでハギと電話してたろ。イケメン嫌い拗らせて犯罪者志願すんの止めろ」と額を指でびしりと弾かれて「うぇぇん、だって…だってぇ…」と顔を覆う。こんなの泣かない方が無理。
「だってじゃねぇ」と再び私の頭を叩いた松田さんに恨みがましい視線を向けていると「ね、ねぇ…mtd刑事、この人…」と足元から困ったような声が聞こえてきて「これが通常運転だ。ちょっと…っつーかだいぶ変な奴だが、それだけだ」と私の頭にぽんと松田さんの手が置かれる。
「だいぶ変な奴って…」と引き攣った笑みを浮かべる男の子に「コイツの話は9割聞かなくていい」と告げた松田さんが私を見て「ったく、ベソかくならここじゃなくてあっち行ってろ。帰りは送ってくからな」と恐ろしい宣告をしてくる。
両手で顔を覆って「刺されるじゃないですかヤダ!!」と悲鳴を上げた私に向かってひらひらと雑に手を振った松田さんは「ハイハイやだやだ」と適当に流して現場へと戻っていった。私が何をしたと言うの。