幼女を甘やかすために萩原と松田は遊園地にやって来ていた。「ゆーえんちー!!」と大はしゃぎの小さな背中を萩原が慌てて追いかけて「こらこら一人で行っちゃだーめ。迷子になっちゃったらどうするの」と幼女の手を繋ぐけれど幼女は「はやく!はやくいこ!」と萩原の手を引っ張る。
「おい香澄、一人で行ったら置いて帰っちまうかもしんねーぞ」と松田がニヤリと笑いながら言えば「え!?」とショックを受けたようにがーんと目を見開いて固まったあと「じんぺーくんひとりでおうちかえれるの!?」なんて言うものだから萩原が吹き出した。
「ぐっふ、」「おいハギ」「いや、ごめ…っふふ」とジト目で松田に見られるものの笑いを我慢できない萩原が肩を震わせてぷるぷる震えて笑う。「一人で帰れるに決まってんだろ。誰が連れてきてやったと思ってんだコラ」とヤンキー座りをした松田が幼女の額にぐりぐりと人差し指を押し付ける。
「だってけんちゃんのくるまじゃん!」と納得のいってない顔をする幼女に「残念だったな。俺も運転できんだよ」と松田がドヤ顔すれば「そーなの!?けんちゃんほんと!?」と驚きに満ちた顔が萩原を見る。
「ふっ…くくっ、ほんとだよ。陣平ちゃんも運転できちゃうんだよなぁ」と萩原が目尻の涙を拭いながら答えれば「ほんとなの!?」と目をまん丸に見開いて松田を見るから「だから言ったろ。置いてかれてもいいのか?」「やだ!!」「んじゃ、ちゃんと手繋げ」と松田に手を差し出されて「わかった!」と幼女が頷く。
「じんぺーくんとけんちゃんがまいごにならないように、香澄ちゃんがてってつないであげるね!」とニコニコしながら歩く幼女に萩原も松田も笑みが零れる。「香澄ちゃんは優しいなぁ。ありがとう」と萩原が幼女の頭をぽんぽんと撫でて「しっかり頼むぜ、香澄」と松田が笑って幼女と繋いだ手をゆらゆら揺らす。
「まかせてぇ!」とご機嫌に遊園地のテーマ曲を歌い出した幼女に連れられて、なのか幼女を連れて、なのかは定かではないが三人で仲良く手を繋いで遊園地に繰り出した。