「あー!ばくだんのおにいちゃん!なんでおにいちゃんもおようふくきないの!はぎわりゃ、や、わや、はぎわわしゃんがないちゃうからおようふくきないとだめよ!」と数年前に萩原の天使様になった幼女に言われて松田は死を免れた。
「お前ンとこの天使様、俺のとこにも来たぜ」「え!?香澄ちゃん!?何だってこんなガラの悪い奴のとこに……」「んだとコラ」「あでっ、ほらもー!すぐ手が出る!香澄ちゃんに悪影響なのでそういうの止めてもらえますぅ!?」と萩原と一緒にじゃれ合いながら松田はあの日のことを思い出していた。
小さな天使様のお陰だと言っていた萩原の話を話半分で聞いていたが、まさか自分の元にも同じように小さな天使様がやって来るとは思っていなかった。「かんらんしゃとね、べーかちゅーおーびょーいんがね、ばーんってね、なるの。だから、まちゅ、まちゅらさん、おようふくきてね!」と言っていた通りに事が運び、萩原と同様に松田も死を免れた。
萩原に頼んで幼女の元を訪れれば「あーー!!まちゅらさん!!」とたったか駆け寄ってきた小さな体が足にぺとりと張り付く。「まちゅらさん、おようふくきた!?」と尋ねられて、松田は自分の表情がふっと緩んだのが分かった。
「悪い。着んの忘れちまった」としゃがみ込んで言えばまん丸の瞳がこれでもかと見開かれて「わすれちゃったの!?はぎやりゃさんはわすれなかったよ!」と一緒に来ていた萩原を指差してぷんすこ怒る姿に「次から、ちゃんと着るから。今回は許してくんねーか?」と頭を撫でながら言えば「もー、しようがないわねー。こんかいだけよ」なんて可愛らしい言葉が返ってきた。
◆◆◆
上手に名前が呼べない幼女に名前を呼ばせようとする萩原と松田。
「はぎわやしゃん!」「ふふっ」「まちゅらさん!」「ぶはっ」「なんでわらうの!」とご立腹のお姫様に「ごめんごめん。香澄ちゃんが可愛くって」と萩原が笑いながら頭を撫でれば不満そうな声が返ってくる。
「やっぱ苗字じゃ呼びにくいか〜」「もう名前でいんじゃね。ほら、陣平って言ってみろ」「じんぺーくん?」「お、言えてら」「えっズルい!俺も俺も!けんちゃんって呼んで?」「けんちゃん!」「は〜〜〜可愛い」「きゃあ!けんちゃんくすぐったぁい!」「可愛すぎで逮捕〜〜!」「きゃははは!」