違うそこじゃない

仲良くなった幼女が「もりょふっしゃん!ばーんってなるの?」と言いだすものだから、聞き馴染みのありすぎる名前に「もりょ、えっ?」「おいそれって」と萩原と松田は固まった。「もっかい言ってみろ」と松田に言われた幼女が「もりょぅっししゃん!」と元気よく返すから「違うそこじゃない」と頭を抱える。

「ばーんってなぁに?」と萩原が尋ねれば「あのねえ、こーやってばーんってするの」と小さな親指と人差し指が銃の形を作って、その手を胸に当てるから2人の背筋がぞわりと粟立つ。「それ、ほかにも誰かいる?」と萩原が尋ねれば「んっとねえ、あかいしゃんとふるやしゃん!」と返ってくるから確信を得る。

「おいハギ、お前もアイツらにメール入れろ。戻ってこねぇってことは届いて見てるってことだろ」とポケットから携帯を取り出した松田と同じようにポケットから携帯を取り出した萩原が「香澄ちゃん、他に何か分かることある?」と再び質問すれば「んっとね、あのね、」と一生懸命お話をしてくれる。

「ふるやしゃんがね、かんかんってのぼるからねえ、びっくりしちゃってばーんってするの」と両手を大きく広げながら説明をするから「そっか。いっぱい教えてくれてありがとう」と萩原が頭を撫でてあげれば、ふにゃふにゃと表情が緩んで「んふふ、香澄えらい?」とご機嫌に笑うから目一杯褒める。

「もうちょ〜〜偉い!!本ッ当にありがとなぁ〜」と小さな体を抱き上げてぎゅうぎゅうと抱き締めれば、萩原の腕の中からきゃらきゃらと無邪気な笑い声が響く。「じんぺーくん、香澄えらいって!」と見上げてくる小さな頭をわしわしと撫でて「ん、お手柄だ。よくやった」と褒めてあげる松田がいるよ。
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