「俺の妹が世界で一番可愛い」と幼女を抱き締める萩原に松田は苦笑いをせずにはいられなかった。「香澄、嫌になったらすぐ言えよ」と幼女の頭を撫でた松田に「やじゃないよ?」と幼女がこてんと首を傾げるから益々萩原の腕に力が入る。
萩原家の末妹として引き取られた幼女は、あっという間に萩原家のスーパーアイドルになった。萩原は言わずもがな猫可愛がりに拍車がかかり、千速も同様に幼女を可愛がった。両親に至っては甘やかしが止まらなくて大変だと萩原が苦笑いを零すほど。
元来人見知りをしない人懐っこい性格の幼女は、最初の方こそ緊張していたようだが、あっという間に馴染んでいたと萩原は安堵していた。
「親父たちのこともさ、パパママって呼んでんの。一人になると、寂しそうな顔するんだけどさ、今までみたいに楽しそうに笑ってくれるから、これで良かったって思えるんだよね」と幼女の頭をぽんぽんと撫でれば、萩原の膝の上で絵本を読んでいた幼女がきょとんと目を瞬かせる。
「絵本、おもしろい?」と尋ねれば「うん!」と満面の笑みが返ってくるから「そっか。よかった」と萩原もふわりと微笑む。
「ちゃんと兄貴してんじゃん」と笑った松田に「そう見える?」と萩原が嬉しそうに笑って「可愛くてしょうがないんだよね、ほんとに。将来彼氏なんて連れてこられたらぶっ飛ばしちゃうと思う」と本気の顔をする萩原に「……マジの顔止めろよ。つーか何年後の話してんだ」と松田がげんなりした様子でため息を吐く。
楽しそうに笑いながら話をする萩原と松田を見て寂しくなっちゃったのか、「けんちゃん、えほんよんでぇ」と萩原の腕をぴしぴし叩く幼女に萩原の頬がでれっと緩む。「いいよ。一緒に絵本読もっか」と幼女を抱き直して絵本を開く。
ゆっくりと絵本の文字を読み始めた萩原の腕の中で幼女がご機嫌にゆらゆらと揺れるから、微笑ましい姿に松田の頬も緩んでしまった。