助かってることが何よりの証拠

「よろしくな、香澄ちゃん」としゃがみ込んで幼女と視線を合わせた伊達を見て、ぴこんと頭の上にビックリマークが浮かんだ幼女が目を見開いたかと思ったら「くるま!くるまがね!どーんってくるの!」と小さな両手が広げられる。

「車?もしかして、何か分かるの?」と驚いた顔で幼女を見つめる萩原と「コイツにも、何かあんだな」と真剣な表情を浮かべる松田。そして、何が何だか分からずに首を傾げる伊達。興奮した様子で一生懸命話をする幼女を宥めながら萩原が話を聞けば、伊達が交通事故に遭うのだと言う。

「ぽっけからね、えほんだしてね、おちちゃったから、だてしゃんがひろうの!そしたらね、おっきいくるまがね、どーん!ってきてね、だてしゃんがね、いたいいたいするのぉ…」と徐々に表情が曇っていく幼女の姿に全員の胸がぎゅっと苦しくなる。

「おい伊達、暫く気をつけろよ」と言う松田に「どういう意味だ?」と伊達が首を傾げる。「理屈はよく分かんないんだけど、香澄ちゃんが俺たちの命の危険を知らせてくれるんだよね」と萩原が幼女の頭をぽんぽんと撫でる。

「だてしゃんぽっけないないだよ!」と伊達の元にたったか駆け寄って胸の前で両手をぎゅっと握り締める姿に伊達の肩から力が抜ける。「ああ、そうだな。ちゃんと、ポケットにしまっておくよ。出しちゃダメなんだよな?」と小さな丸い頭をぐりぐりと撫でれば、その小さな頭が「そう!だめ!おちちゃうから!」と力強く縦に振られる。

「教えてくれて、ありがとうな」と再び頭を撫でれば「ひひっ、いいよぉ」と幼女の頬がふにゃりと緩む。「な?俺らの天使様は可愛くって優秀だろ?」と楽しそうに笑って幼女の隣に萩原がしゃがみ込めば「けんちゃん!香澄ちゃんてんしさま?」と小さな体が萩原に抱き着く。

「あったりめぇよ!香澄ちゃんは可愛い可愛い俺らの天使様だもんなぁ〜!」と小さな体をぎゅうぎゅう抱き締めれば「きゃあ!けんちゃんくるしいよぉ!」と幼女がきゃらきゃらと笑い声を上げる。

「信じらんねぇだろうけど、俺らも連絡が付かない二人の片割れもコイツのお陰で助かってんだ。それこそ本当に理屈は分かんねぇんだけどな」と松田が肩を竦めながら伊達を見れば、伊達はふっと表情を緩めてから「どんな理屈にしろ、お前が助かってることが何よりの証拠だろ。信じるさ」と優しい目で幼女を見つめる。

「けんちゃんくすぐったぁ〜い!やだぁ!だてしゃんたすけてぇ!」と楽しそうに笑いながら逃げようとする小さな体をふわりと抱き上げてやれば、小さな腕がきゅうっと伊達の首に回された。
backtop