俺で、いいじゃん

昔っからの萩原との悪友香澄ちゃんが彼氏に振られて「ど〜せ私はか弱い女の子じゃないわよ!!!」ってビールジョッキを傾けて一気飲みするから「まあ大ジョッキ一気はか弱くねぇわな」って萩原が笑いながら言えば「うっさい」って空になったジョッキを置いて机に突っ伏しちゃう。

その後もぶつぶつ文句言いながらお酒を飲み、焼き鳥を食べ、お酒を飲み、を繰り返してしっかり酔っ払った香澄ちゃんが「もう一軒行くよ!萩原!」って言うんだけど「もう行かねぇよ。飲みすぎだっての」って呆れた顔の萩原に止められて不満そうに唇を尖らせる。

「なによ!どーせ萩原もこんな面倒な女って思ってんでしょ!いいわよ別に!」ってうるうる涙を浮かべながら怒る香澄ちゃんに大きくため息を吐いた萩原が「あのなぁ…俺が何とも思ってない面倒な女とサシで飲みに来る訳ねぇだろ。いい加減気付けよ」って言うからぽかんとする。

「は…?なんとも、おもって…、は?」って目を瞬かせる香澄ちゃんに「お前じゃなかったら来てねぇよ。俺のこと何だと思ってんだよ」って萩原が不貞腐れたように言うから、萩原の言葉の意味を理解した香澄ちゃんがじわじわ顔を赤くする。

「なに、いって…」って口をぱくぱく開いたり閉じたりする香澄ちゃんに向かって「俺の気持ちも知らないでホイホイ男なんか作ってんじゃねぇよ、ばーか」って言った萩原が今度はビールジョッキを傾けて一気飲みする。

それをぽかんとしながら目で追ってれば「俺で、いいじゃん」ってテーブルの上の手に萩原の指が触れて、お互いの人差し指だけが絡まる。香澄ちゃんの心臓はバクバクと音を立てて、じわじわ顔が熱くなるのに釣られるように萩原の顔も赤くなる。

「俺じゃ、ダメ?」ってゆっくり指が絡まって、萩原の目から視線が逸らせなくなった香澄ちゃんが「だ、めじゃ、ない…、」って小さな声で呟けば「あっそ」ってそっぽ向いた萩原がぎゅうっと指を絡めて手を繋いでくるから心臓がうるさくて仕方が無い。
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