やましい事がなければ

※痛い表現アリ※いろいろ注意※

降谷宛に送られてきた大きな箱。警戒しながら箱を開ければ中から出てきたのは大きなスーツケース。「ゼロ、これ買ったの?」と諸伏が尋ねるけれど「買ったとしてここに届けさせる訳ないだろ」と降谷が呆れたようにため息を吐く。

もちろん、それを分かっていない訳ではないから「だよね」と肩を竦めた諸伏が困ったように眉を下げて笑う。ずしりと重たいソレを箱から取り出してゆっくりと開けると、ふわりと香った覚えのある匂い。

一体どこだったか…と思考を巡らせながら蓋を開けて、降谷と諸伏の背筋がぞわりと粟立った。「香澄!!おい!!」「何で…ッ、おいこの箱受け取ったの誰だ!!」と悲鳴に似たような声で香澄の名前を呼ぶ降谷の隣で諸伏が声を荒げる。

配達伝票の付いていない箱、つまり誰かが直接ここに持ち込んだということ。スーツケースの中で両手両足を縛られ、口にはテープが貼られた状態でぐったりと意識を失う香澄の姿に心臓が大きく、早く、脈を打つ。

震える手で降谷が縄を解き、口のテープを剥がす。ゆっくりと香澄を抱き起こして声をかけるけれど応答は無く、呼吸が酷く浅かった。色を失った唇と、微かに震えている華奢な指先。口元から香るのは恐らく何らかの薬の匂い。

「ヒロ、悪い。ここは一旦任せていいか。僕は彼女を病院に連れて行く」と香澄を横抱きにして立ち上がった降谷に諸伏がこくりと頷く。「ああ、後で俺も向かうよ。こっちは任せて」と降谷に告げてから香澄の頬をそっと撫でる。

冷たい肌に考えたくない最悪の事態が頭を過ぎるけれど、頭を振って考えないようにする。「風見さん、入口からこの部屋までの全てのルートの監視カメラの映像を準備してもらえますか?それと、この箱を受け取った、もしくは触れた人はこの場で挙手をお願いします。やましい事がなければ…挙手、出来ますよね?」と室内をぐるりと見回した諸伏の目が鋭く光る。

絶対に許してなるものか。大事なお姫様が傷付けられて大人しくしていられるはずが無い。ぎり、と握り締めた手は怒りで震えていた。
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