【おれが、みごろしにした】の続きみたいな
※痛い表現アリ※いろいろ注意※
誰かから名前を呼ばれた気がして香澄ちゃんがゆっくりと目を開ける。ずっと閉ざされたままだった香澄ちゃんの瞼が震えて目が開くから「香澄、ちゃん…?」って萩原の震える声が病室に響く。
香澄ちゃんの目がゆらゆら揺れて「け、んじ…」って唇が動くから萩原の目からぼたぼた涙が溢れる。「よか、っ…よかった…香澄、香澄…っ!」って香澄ちゃんの手を握り締めて額に押し当てながら泣きじゃくる萩原を見て香澄ちゃんの目からも涙が溢れる。
「ごめんね、ごめんね…研二、ごめんね」ってぽろぽろ涙を流す香澄ちゃんと二人で泣いちゃう。お医者さんに診てもらって話をして二人でゆっくり話ができる状況になると、怖い顔をした萩原が香澄ちゃんの手をぎゅっと握り締めて「なんで、あんなことしたの…?」って震える声で尋ねる。
「…ごめん」って謝るだけで理由を話してくれる訳じゃない香澄ちゃんに「俺は…ッ、!…謝って欲しい訳じゃない」って思わず声が大きくなっちゃう萩原がいる。痛みに耐えるような苦しい顔を見て、香澄ちゃんの顔もくしゃりと悲し気に歪む。
「だって、あの時の研二、腕痛めてたよね…?」って萩原の腕に手を伸ばした香澄ちゃんに萩原の肩が揺れる。「私のせいで、研二が大怪我するなんて、耐えられなかった」って萩原の服の裾をぎゅっと握った香澄ちゃんがはらはらと涙を流す。
いつもなら香澄ちゃんの頬を伝う涙を拭ってあげるけれど、今日ばかりはできなかった。「〜〜ッたかが怪我だろ!?俺が怪我しない代わりにお前が死ぬなら、腕でも足でも、何でもくれてやるよ!!ふ、ざけんなよ…!!お前がいなきゃ、助かったって何の意味もねぇだろ!!」って大声で叫んだ萩原が香澄ちゃんの手を痛いくらいに握りしめる。
「あの時、何で一緒に落ちなかったんだって、何でお前の後を追いかけなかったんだって、死ぬほど後悔した。香澄のいない世界を、未来を、一人で歩くくらいなら死んだ方がマシだって、本気で思った」って萩原が涙を流す。
その涙が、言葉が、痛みが、あの日の萩原の気持ちが、香澄ちゃんの胸に刺さる。「ごめ、ごめんなさい、あのとき、研二をたすけたいって、それしか考えられなかった…っ、いちばん、悲しませること、しちゃった…っ、ごめんね、ごめんね、研二…!」ってぼろぼろ泣きながら縋るように萩原に手を伸ばして震える萩原を抱き締める。
どっちが悪いとかどっちが間違えてるとか、そういうことでは無いと、二人とも分かっていた。どっちの気持ちも、どっちの言い分も分かる。だって、逆の立場だったら同じことをしていたから。
「ごめん、香澄…っ、怒鳴ってごめん…!あの日、あんなことさせて…っごめん、」って香澄ちゃんの肩口に頭を押し付けて萩原が泣きじゃくって「わたしも、ごめんなさいっ…!けんじのきもち、なんにも考えてなかった…!ごめ、ごめんね、ごめんね、けんじ…っ、!」って香澄ちゃんも萩原の胸元に頭を押し付けて泣きじゃくる。
どちらからともなく、互いの存在を、熱を、確かめるように唇を重ねる。何度も繰り返されるキスは涙の味がした。