僕を喜ばせるためにも

深夜に音を立てないようにそうっと帰ってきたら寝室の電気が付いてない代わりにリビングの電気が付いてるから不思議に思いながら部屋に入ったら香澄ちゃんがフローリングにうつ伏せで倒れてて大声で名前を呼びながら抱き起こしたら寝落ちしてただけで安堵半分、苛立ち半分の降谷がいる。

「何でこんなところで寝てるんだ」って思い切り鼻をむぎゅっと摘めば「んむ、ぅ…っ、ん…?れぇ、くん…?」ってぽやぽやしながら香澄ちゃんが目を覚ます。「おかえりぃ、おしごと、おつかれさまぁ」ってへにゃへにゃ笑う香澄ちゃんにドッと肩の力が抜けちゃって「…ああ、ただいま」って笑って額にキスを落とす。

それから「何でこんな所で寝てるんだ。びっくりするだろ」って香澄ちゃんを横抱きにすれば首に腕をきゅっと回して抱き着いてきた香澄ちゃんが「零くんが帰って来る気がしたから待ってたら、寝ちゃってた」ってまだ眠たいのか肩口にぐりぐりと額を押し付けてくる。

「僕のことは待ってなくていいからちゃんと寝てくれって言っただろ」って香澄ちゃんをベッドに下ろすんだけど、首に回した手を離してくれなくて「やだ。おかえりって言いたい」って拗ねたような口ぶりに思わずふっと笑ってしまう。

「香澄、キスさせて」って香澄ちゃんの肩をとんとんって叩けば、首に回ってた腕の力が緩められてぶすっと唇を尖らせた香澄ちゃんと目が合う。「起きておかえりって言ってもらえるのはもちろん嬉しいけど、君がぐっすり寝ている所を見れるのも嬉しいんだよ」ってくすくす笑った降谷がちゅっと香澄ちゃんにキスをする。

「だから、僕を喜ばせるためにもゆっくり寝てて欲しいんだ」ってもう一度、少しだけ長めにちゅうってキスをすれば「……じゃあ、ちゃんとここで待ってるね」って香澄ちゃんがベッドをぽふぽふ叩くから「うん。待ってて」って今度はゆっくり、深く、唇を重ねる。

「着替えてくるから、先に寝てていいよ。おやすみ、香澄」って頭を撫でてくれる降谷に甘えて、そのままぐっすり寝ちゃうよね。
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