※痛い表現アリ※いろいろ注意※
悪い人に捕まって人質にされた香澄ちゃん。後ろ手に縛られてコンクリートの床にぺたりと座り込む香澄ちゃんの背中を足でどん、と蹴られて体が前のめりに倒れる。「全然助けに来ないし、もう死んどく?」ってナイフを向けられて恐怖に震えていれば倉庫の扉が開いて降谷たちが助けに来てくれる。
香澄ちゃんの目から安堵の涙がぽろっと零れて「れ、ぇく…ん、」と掠れた声が倉庫に響く。ズタズタの服と、ぐしゃぐしゃの髪の毛、そして涙に濡れた真っ赤な目。「……彼女に、何をした?」と男を睨み付けた降谷に男は楽しそうに笑って立ち上がると香澄ちゃんの背中を思い切り蹴飛ばした。
ドシャッと倒れた香澄ちゃんの背中に足を置いて「アンタ1人じゃないだろ?後ろのヤツらも、出てこいよ」と眉間にシワを寄せた男に降谷が舌打ちを零す。合図と共に苛立った様子で現れたのは隠れて様子を伺っていた萩原、松田、伊達の三人。
自分の手中に香澄ちゃんがいる以上、男に恐れるものなど何も無くて、香澄ちゃんの背中に置いた足をダン!と更に踏み付ければ「ぁっ、ぐ…っ、」と香澄ちゃんから苦しげな声が漏れる。
「何が目的だ」と男を睨み付ける降谷に「ん?嫌がらせ」とにっこり笑った男が香澄ちゃんの隣にしゃがみ込む。「俺さあ、幸せそうにしてやる嫌いなんだよ」と笑いながら香澄ちゃんの背中でナイフを滑らせた男が「だから、この子も、お前らも、み〜んな不幸になればいいと思ってんだよねぇ」と笑って何の躊躇いもなく香澄ちゃんの肩にナイフを突き立てる。
「ひ…っ、ぁッぁぁああああ…ッ!」と香澄ちゃんの悲鳴が響き渡って「あっはははは!!!」と楽しそうに笑う男がいる。「テメェ…ッ!!」と今にも飛び出してしまいそうな松田の隣で萩原は血が滲むほどに唇を噛み締めて、伊達も握りしめた拳が怒りで震える。
「ぃ…、ぁ…っぅ…っ、ぐ、」と痛みに呻く香澄ちゃんの髪の毛を引っ張って無理やり顔を上げさせた男が「お前らが、助けに来たからこんなに可哀想なことになってんだよ」とニタニタ笑う。
「……彼女を離せ」と静かに呟いた降谷がゆっくりと銃を向けるけれど男の表情はずっと晴れやかなまま。「いいよ、撃っても。その代わり…俺を撃てば、この子も死ぬよ」と笑った男が何かのスイッチをポケットから取り出すから萩原と松田が息を飲む。
「チッ、マズイな」と舌打ち混じりに松田が呟いて「下手に撃てばドカンの可能性が高い。ゼロ、まだ撃つなよ」と萩原が降谷を見る。「チッ…!」と舌打ちをして引き金から人差し指を外す降谷に「とは言え、あの出血量じゃ手遅れになるぞ」と伊達が険しい顔をする。
ひゅう、ひゅう、と荒い呼吸をしながら顔を歪ませる香澄ちゃんを見て男がにんまりと笑う。ゆっくりと伸ばされた手がナイフを握って、ぐり、と動かす。「き、ゃぁぁあああッ!?」と香澄ちゃんの目が見開かれて悲鳴が零れて、男の笑い声が倉庫に響く。
「おいゼロ!!!」「このままじゃ香澄ちゃんが限界だ!!!」と松田と伊達の叫び声が響いて降谷が静かに手を上げた瞬間、男の背後を閃光が駆け抜けて、萩原と松田が走り出す。
男が目を見開いた時には、既に右手が赤く染まり弾けるような痛みに「あ゛ッぁぁああ゛ああ゛あ!!!」叫び声をあげる。たたらを踏んだ男に「掠り傷程度でぎゃあぎゃあ喚いてんじゃねェよ!!オラァッ!!」と松田が拳を振り上げて容赦なく殴り飛ばす。
「よく当てるな!本当によ!」と笑った伊達がうつ伏せに倒れ込む男を取り押さえて、男の手から滑り落ちたスイッチを松田が遠くへ蹴り飛ばす。萩原が「ごめんね、ちょっと我慢してね」と痛みに呻く香澄ちゃんを抱き起こすけれど、思っていたよりも溢れ出す血が多くて舌打ちをする。
「萩原!香澄ちゃん!」と駆け寄ってきた諸伏が香澄ちゃんの様子を見てガバリと上着を脱いで「ッとにかく止血しないと…!」と香澄ちゃんの傷口を圧迫する。
「い゛ッ…、ぁっぁあ゛ッ、」と痛みに涙を流す香澄ちゃんを見てられなくて「ごめんね…っ、もうちょっとだけ、我慢してね…!」と萩原が香澄ちゃんの頭を抱えるようにぎゅっと抱き締める。
少ししてやって来た警察に犯人の男は確保されて、香澄ちゃんは病院へ。出血が酷く、一時は命の危険もあったけれど無事に意識が戻り全員がホッと息を吐く。
「お、今日は顔色良さそうだな」と病室に顔を出した伊達に「はい!おかげ様で!」と香澄ちゃんがパッと表情を明るくする。「そりゃ良かった。ゼリー買ってきたが、食うか?」と袋を掲げた伊達に「やったぁ!食べます!」と香澄ちゃんが嬉しそうに笑う。
まだ左手が上手く使えずにゼリーの蓋が開けられずに不満そうな顔をする香澄ちゃんに苦笑いを零しながら「悪い悪い。違うのにすれば良かったな」と伊達が蓋を開けてあげれば「いいの。だって伊達さんも、みんなも開けてくれるもん」って香澄ちゃんがクスクス笑うから「ったく、ほんとにお前は甘え上手だな」って笑った伊達がくしゃくしゃと頭を撫でる。
「えへへ、」って笑っていば病室の扉がノックされて今度は萩原と松田が顔を覗かせる。「お、良いもん食べてる」って笑った萩原の隣で「お前最近甘いもん食いすぎだろ」って意地悪な顔で松田が笑うから「あ、意地悪言うなら松田さんにはおすそ分けしな〜い」って香澄ちゃんがわざとらしくぷいっとそっぽを向く。
「あーあ、ドンマイ!陣平ちゃん!香澄ちゃん、俺に一口ちょーだい」ってケラケラ笑った萩原が香澄ちゃんに向かって口を開ければ「しょうがないなぁ」って笑った香澄ちゃんが萩原の口にゼリーを運ぶ。
「お前なぁ…」って苦笑いの伊達の横で「俺も」って松田が口を開ければ「さっき意地悪されたからやだ」って香澄ちゃんが松田にはあげずにぱくっとゼリーを食べちゃう。「んだと、こら」って松田が香澄ちゃんのほっぺを両手でうりうりしていじめてれば、また病室の扉がノックされて諸伏と降谷が顔を覗かせる。
「あ、松田が香澄ちゃんいじめてる」って言う諸伏に「またか」って降谷がため息を吐くから「またってなんだまたって」って松田が食いつく。「香澄ちゃんにお土産〜って思ったけど班長の方が一足早かったか」って諸伏が苦笑いしながら袋を掲げるから香澄ちゃんの目が輝く。
「わ!なんですかそれ!」って嬉しそうにする香澄ちゃんの髪の毛を梳くようにサラリと撫でながら「フルーツだよ。香澄、好きだろ」って降谷がふわりと微笑む。「好きです!」って嬉しそうに笑う香澄ちゃんを見て全員が再びホッと息を吐く。
いつまでも笑っていて欲しいと、あの日のようなことはごめんだと、全員が強く心に誓った。