もう、後には戻れないよ

自分よりずっと年上の人と結婚させられそうになって嫌で嫌で堪らなくて何とか逃げ出して来た良いとこのお嬢様である香澄ちゃんと、丁度香澄ちゃんのおうちの情報が欲しいと思ってた所に香澄ちゃんがやって来たので香澄ちゃんを利用しようとしたらまんまと絆されてしまったスコッチ(諸伏)の話。

「お願い。私を匿って」って縋り付いてきた香澄ちゃんの顔を見てスコッチはすぐにピンと来る。「もう嫌なの。父の仕事のために知らない人と結婚なんて真っ平御免だわ!」って涙を流す香澄ちゃんを冷たい目で見下ろして「それで逃げ出してきたの?俺みたいな悪い男に捕まるかもって、考えなかった?」って顎をくいっと掬い上げる。

怯むことなく「敷かれたレールの上を歩くより、ずっとマシよ」って真正面から見つめられて「へぇ…いいね、君。面白そうだし、いいよ。匿ってあげる」って笑ったスコッチが香澄ちゃんの頭に帽子を被せて自分が着ていた上着を肩にかける。

「もう、後には戻れないよ。君の手で、君の家を破滅に導くことになっても、文句は言えない」って最後の忠告をしたスコッチに「言ったでしょう。敷かれたレールの上を歩くよりずっとマシだって。私は、私の手で切り開いた道を歩きたいの」って言い切った香澄ちゃんの視線は一度たりともブレない。

「なら、俺から言うことは何も無いよ」って両手をあげて降参のポーズを取ったスコッチが肩を竦めて、それから香澄ちゃんの手を取る。「じゃあ行こうか。君が切り開く未来が、どんな結末を辿るのか、きちんと見届けさせてもらうよ」ってニヤリと笑ったスコッチに「随分他人事なのね。私を匿うんだから貴方にも多少の責任はあるでしょう」って香澄ちゃんが不満そうに唇を尖らせた。
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