じゃあ好きにさせてもらお

【情報量が多すぎだろ】の続きみたいな

行きつけのバーでお酒を飲んでた香澄ちゃん、「あ、いた」って弾んだ声の直後、背後からぎゅうっと抱き締められて「は?」って振り返れば先日ホテルの部屋に連れ込んでしまった男の子がいて「あ、ごめん。電話シカトしてた」って謝ったら「出てねって言ったのに」って諸伏が唇を尖らせる。

肩口に乗せられた頭がすり、と動いて綺麗な髪の毛がさらさらと首筋を撫でる。「ちょっと、くすぐったいんだけど」って諸伏の頭をぐいっと押し返せば「酷いな。あんなに熱い夜を過ごした仲なのに」って不満そうに諸伏が言うから「はいはい、その節はどーも。お世話になりましたぁ」って面倒そうに香澄ちゃんが返す。

「で?あの熱い夜を忘れられなくてわざわざ私を探しに来た訳?」ってくすくす笑いながら香澄ちゃんがグラスを傾けるから「……だったら何か悪いの」って諸伏がふいっとそっぽを向く。

「ぷっ、あははっ!ほらだから言ったじゃん!私、運良いからって。貴方が悪い人には見えないんだけど」って香澄ちゃんがけらけら楽しそうに笑って諸伏の頭をくしゃくしゃ撫でる。

そのまま手を滑らせて「顎髭も悪い人に見せたくてやってたんでしょ。結構可愛い顔立ちしてるもんね」って顎をするっと撫でた香澄ちゃんの手を「……うるさいな。いいだろ、別に」って振り払った諸伏が益々不満そうにするから香澄ちゃんは楽しくて仕方が無い。

「何か飲む?」って笑いながら香澄ちゃんが尋ねれば「……お姉さんは何飲んでるの」って諸伏が聞いてくるから「ん?ウイスキーだよ。スコッチって言うんだけど、知ってる?」って香澄ちゃんが答える。

その答えに目を見開いてから、スッと目を細めた諸伏が「へぇ、奇遇だな。俺もスコッチには思い入れがあってさ。同じの、頼んでもいい?」ってテーブルの上に置かれていた香澄ちゃんの手に自分の手を重ねる。

「お好きにどうぞ」って笑ってその手からするりと逃げた香澄ちゃんを見て楽しそうに笑った諸伏が「じゃあ好きにさせてもらお」って逃げ出した香澄ちゃんの手を追いかけた。
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