おねえさん、へんなの

目が覚めたら金髪の小さな男の子が腕の中で眠っていて無意識化の自分が何かとんでもないことをやらかしてしまったのではないかと本気で怯える香澄ちゃんと、目が覚めたら自分の体は小さくなってるし知らない場所にいるし目の前の女の子は今にも泣きそうだし、で逆に冷静になる降谷の話。

きょろきょろと降谷が辺りを見回すけれど、自分がいる場所は全く覚えの無い部屋。そして何より理解が出来ないのは、自分の体が小さくなっているということ。正確な年齢は分からないけれど五歳前後と言ったところだろうか。

「あの、おねえさん」って声をかければ「は、はいっ…!」って香澄ちゃんが肩を震わせて返事をする。「ここ、おねえさんのおへや?」って降谷が首を傾げれば「そ、そうだよ…」って香澄ちゃんがひくりと頬を引き攣らせる。

香澄ちゃんが自分をここに連れてきた犯人では無いだろう、と思いながらも「ぼく、どうしておねえさんのおへやにいるの?」って核心に触れる質問をしてみる。これで誤魔化したり、明らかに怪しい動きをするのであれば…と考えた降谷だったけど「…それ、私も知りたいんだよねぇ」って泣きそうな顔でへにゃりと笑った香澄ちゃんに思わずぽかんとしてしまう。

「私もね、起きたら君がいたから結構びっくりしてるんだよね。心臓がすっごいバクバクいってるの。触ってみる?ほら、すごくない?」って言いながら降谷の手を自身の胸元に誘導した香澄ちゃんがへらっと笑う。

その姿に毒気を抜かれた降谷が「おねえさん、へんなの」って言えば「あはは、よく言われる」って返しながら香澄ちゃんがベッドから降りて立ち上がる。

「私も君も、分かんないことだらけだから一旦ご飯を食べよう!そんで、色々考えよう!どうかな?」ってにこりと笑った香澄ちゃんに「うん。ぼくも、それがいいとおもう」って降谷が返すから「ありがとう。君は賢い子だね」って香澄ちゃんが降谷の頭をぽんぽんと撫でる。

驚きで固まる降谷をひょいっと抱き上げて「あー、っと…君は何くん?私、香澄ね。さっきみたいにお姉さんって呼んでもいいし、好きに呼んで」って香澄ちゃんに言われて「あ、え、っと…」ってちょっとだけ言い淀む。

どちらの名前を告げる方が良いのか、なんて分かりきっているのに。そんな降谷の姿を見て「ま、名前知らなくても何とかなるか。知らない人に名前は教えちゃダメよ〜って言うしね。やっぱり君賢いでしょ?」って香澄ちゃんが笑いながら歩き出す。

そのまま寝室を出てリビングのラグの上に下ろされて「朝ご飯はパンとご飯、どっち派?」って首を傾げた香澄ちゃんに「えっと、…ごはん、です」って答えれば「あ、一緒だ。良かった〜パンって言われたら今日はご飯で我慢してねって言わなきゃいけなかったから助かったよ〜」って香澄ちゃんがけらけら笑う。

それなら聞かなきゃ良いのでは?と思いながらふんふん鼻を鳴らしてキッチンへと向かう香澄ちゃんを目で追いかける。それから、その後姿を追いかけてとたとたと近付けば「あ、危ないからこっち入ってきちゃダメだよ。見てても良いけど、そこから先は入っちゃだ〜め」ってキッチンの入り口辺りで止められてしまう。

「わかった」ってこくん、と頷けば「良い子だね」って香澄ちゃんが、また降谷の頭をくしゃくしゃと撫でる。頭を撫でられるなんていつぶりだろう、と思いながら甘んじてそれを受け入れる降谷が、それ無しじゃ落ち着かなくなったりする日が来るかもしれないし、来ないかもしれない。

ちょっと賢い子供のフリを続ける降谷と、本気でちょっと賢いだけの普通の子供だと思い込んでる香澄ちゃんのドタバタ同居生活。実はこれが逆トリで、この後大きくなった降谷の所に香澄ちゃんがトリップする予定。
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