ずっと空き家だった隣のおうちの庭に人がいて誰だろうって思ってたらパチリと目が合ってしまって「こ、こんにちはぁ…」って挨拶したら「久しぶり、香澄ちゃん」って笑いかけられてビシリと固まっちゃう。
「えっ…」って戸惑ってたら「あ、もしかして覚えてない?」ってくすくす笑いながらその人が近付いてきて「小さい頃、よく一緒に遊んだでしょ」って手を差し出されて、幼い頃の記憶が蘇る。
「研二、お兄さん…?」って首を傾げたら「はは、正解」って頭をぽんぽんって撫でられる。「昔みたいにけんちゃんって呼んでもいいんだよ」って綺麗な人差し指で頬をつつかれて「も、もう呼ばないよ…」って恥ずかしくなっちゃう。
「あんなに小さかったのに、大きくなったね」って笑う萩原に「…そりゃあ、もう少しで18歳になるし」ってふいっとそっぽを向きながら答えれば「そっか…もうちょっとで18歳になるんだ…」って萩原が噛み締めるように呟く。
何となく違和感があって香澄ちゃんがきょとりと首を傾げるんだけど「ううん、何でも無いよ。誕生日は、俺にもお祝いさせてね」ってまた頭を撫でられてしまってやっぱり恥ずかしい。
昔はお隣の優しいお兄さんだと思ってたけど、大きくなってから会うと物凄いイケメンだし、記憶の中のお兄さんと何一つ変わらないから余計にドキドキしてしまう。
何となくそわそわしてる香澄ちゃんに「ごめんね。急にいなくなったりして」って萩原がしょんぼりと眉を下げて「ちゃんと挨拶できなかったから、心残りだったんだ」って香澄ちゃんの髪の毛をするりと梳くように撫でる。
「またここに住むことになったから、よろしくね」ってにこりと微笑みかけられて「う、うん…」ってぎこちなく頷いて自分の家に帰る香澄ちゃんを見送った萩原がゆるりと頬を緩める。
「誕生日が待ち遠しいね、香澄ちゃん」って笑う萩原に小さい頃からずっと目を付けられてたなんて、知る由も無い。