ちょ〜っと信用無さすぎるよね

「ハギが浮気…?」って怪訝な顔をした松田に「しーっ!声が大きい!」って慌ててきょろきょろ辺りを見回す香澄ちゃんがいるから「誰もいねぇよ。つーか何でまた急にそんなこと思ったんだよ」って呆れながら聞けば「だって、最近ずっと変なんだもん…」って香澄ちゃんがしゅんと眉を下げる。

休日に綺麗な格好をして一人で出かけたり、スマホの画面を伏せて置いたり、通知音に過剰に反応したり、と最近の萩原の気になる行動をつらつらと上げていく香澄ちゃんに「……なるほどな」って松田が納得する。

「あ、怪しいよね…?」って恐る恐る聞いてくる香澄ちゃんに「まあ、よくある浮気の兆候だな」ってケロッとした顔で言うから「や、やっぱり…!」って香澄ちゃんがショックを受けた顔をする。

「知らないフリ、した方がいいのかな…」って言う香澄ちゃんに「直接聞きゃいいじゃねぇか」って松田が言えば「〜〜っ言える訳ないじゃん…!」って香澄ちゃんがわっと両手で顔を覆っちゃうから松田がため息を吐く。

「他に好きな女ができたから別れろって言われるより、お前から振る方が良くねぇか?気持ち的に」って言う松田に「そ、れは…そうだけど…」って香澄ちゃんが口ごもるから「けど、なんだよ」って松田が続きを促せば「でも、だって、別れたくないんだもん…」って香澄ちゃんが目に涙を滲ませる。

「はぁ…だったら尚更聞けばいいだろ。勘違いだったらそれでこの話は終いだ」ってため息混じりに言う松田に「もし、勘違いじゃなかったら…?」って香澄ちゃんが聞くんだけど、松田としては萩原がそんなことをする男じゃないって分かってるから絶対有り得ないって確信を持ってて、つまりは勘違いじゃないなんて事は有り得ないと分かってる。

「それは…そん時考えろ」って投げやりなアドバイスに肩を落としたものの、確かにそれが一番であることは香澄ちゃんもよく分かっている。隣でスマホを見ながらどこかニヤついている萩原に一言バシッと言ってやらなければいけない。浮気をしているのか、と。

けれど、もし肯定されたらと思うと怖くて、まだ何もしていないのに泣きそうになってぐすっと鼻を啜れば、萩原がギョッとした顔で香澄ちゃんを見る。

「えっ、ちょ、どうしたの?何かあった?」って香澄ちゃんの背中を撫でて顔を覗き込んでくる萩原の顔を見たらぽろぽろと涙が溢れて来ちゃって「〜〜っ、やだ、やだ…わかれたくないよぉ…」って香澄ちゃんが泣き出す。

「な…っ、は、!?別れないよ!?なんでそうなっちゃったの!?」ってびっくりする萩原に「だ、だって、さいきん、うわきしてるじゃん…!」って香澄ちゃんが言えば「いやしてねぇけど!?何でそんなことになってんの…てか、ああもう、目擦んないの」って萩原が香澄ちゃんの手首をぎゅっと掴んで顔を覗き込む。

「俺、浮気してないよ。何でそんな風に思ったの?」って優しく聞かれてぽつぽつと思ってたことを話せば「あー…そ、れかぁ…」って何とも言えない気まずそうな顔をされるから、また香澄ちゃんの目にぶわりと涙が浮かぶ。

「やっぱり、うわきだ…はなせないことなんだ…」って香澄ちゃんがぽろぽろ涙を流せば「浮気じゃないよ。これ、香澄ちゃんにあげたくて、ずっと準備してたの」って萩原がスマホの画面を見せてくれる。

そこに映ってたのは綺麗なネックレスの画像で、思わずぱちりと目を瞬かせてしまう。「香澄ちゃんにサプライズでプレゼントしようと思って準備してたんだけど…結果的に不安にさせてちゃ、意味ねぇな」って肩を竦めた萩原が「ごめんね、不安にさせて」って優しく香澄ちゃんの頬を撫でる。

「浮気なんてしないよ。してる余裕ねぇもん。香澄ちゃんが可愛すぎるから、いつも他の男に持ってかれないように必死なんだよ、俺」って笑う萩原に目元を手でぐしぐしと拭ってきゅっと首に腕を回して抱きつけば背中をとんとん、と撫でられて「ごめんね」ってもう一度謝られる。

体を離して「わたしも、うたがってごめんなさい…」ってしょんぼりしながら香澄ちゃんが謝った瞬間、くるんっと視界が反転して一瞬でソファに押し倒されるから香澄ちゃんの目がきょとんと見開かれる。

そんな香澄ちゃんを上から見下ろして「不安にさせた俺に非があるのは間違いないけど…真っ先に浮気を疑われるって、ちょ〜っと信用無さすぎるよね」ってニッコリ笑った萩原が香澄ちゃんのお腹をするっと撫でる。

「へ、ぇ…っ、あ、けんじ、くん…?」って何か嫌な予感がしてその手を止めようとする香澄ちゃんだけど「俺がどんだけ香澄ちゃんの事が好きか、ちゃんと伝わってなかったみたい。ごめんね、香澄ちゃん」って微笑んだ萩原に手首を押さえられて、唇に噛み付かれるから逃げられないし「浮気を疑う余裕、無くなるくらい愛してあげる」って微笑んだ萩原にしっかり抱き潰されちゃうよ。
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