同じくらい大事にするから

※痛い表現アリ※いろいろ注意※

香澄ちゃんをナンパした男が萩原に「ダッセェことしてんじゃねぇよ。つーかお前如きがこの子に釣り合うって本気で思ってんの?」って笑われたのが理由で逆上して拳を振り上げる。

一発食らってから反撃すれば正当防衛で何とかなるだろ、と思って避ける気の無かった萩原の前に小さな体が飛び込んでくる。萩原が庇おうとするよりも男の標的が萩原から香澄ちゃんに移る方が早くて、香澄ちゃんのまろい頬に男の大きな拳がぶつかる。

華奢な体が傾いて、咄嗟に腕の中に抱き抱えれば頬を真っ赤に腫らして口元からは血を流してる香澄ちゃんがきゅうっと痛そうに顔を歪めてるから一瞬でぷっつん。

「テメェ…!誰に手出してんだ!」って怒鳴った萩原のあまりの勢いに男がたじろいで「その女が勝手に割り込んで来たんだろうが…!」って何とか言い返すけど「ア゛ァ!?余裕で手止められただろうが!!舐めた真似してんじゃねぇぞ!!」って萩原が尚も怒鳴る。

香澄ちゃんに手を上げた時点で周りの人たちも「あれやばくない…?」って空気になってて一部の通行人が通報もしてくれてたけど、あまりの萩原の勢いにこっちの方が止めないとまずいのでは…?みたいな空気になってくる。

腕の中に香澄ちゃんがいるから殴りかかって無いだけで、今にも男に向かって飛び出していきそうな萩原に香澄ちゃんが震えながら手を伸ばす。

「だめ、だめだよ、knjくん、」って必死に止める香澄ちゃんをハッとして見れば「かお、こわいよ、だいじょうぶだから、」ってへにゃっと笑うから一気に怒りがどっか行っちゃう。

「……あぶないこと、しないでよ、たのむから」って震える声で呟いて香澄ちゃんをぎゅううって抱き締めてから男をギロリと睨む。「そっから動くんじゃねぇぞ。動いたとしても、逃げられると思うな。地の果てまで追いかけてやる」って怒気迫る勢いの萩原と、周りの野次馬を見て男は立ち尽くすしかない。

すぐに通報を受けて警察が駆け付けてくれるし、萩原から連絡を受けた松田と伊達も駆け付けてくれて無事に傷害案件になる。伊達が萩原の腕の中の香澄ちゃんを見てきゅっと眉間に皺を寄せて「ッ、香澄ちゃんの傷の方が心配だな…こっちは俺たちが何とかしておくから、萩原は先に病院に行け」って言ってくれるから「悪い、助かる」って萩原が頷く。

「俺の車使え。後で取りに行く」って松田が自分の車のキーを萩原に渡すから「サンキュ。後で飯奢る」って萩原が泣きそうな顔で情けなく眉を下げる。萩原の服をぎゅっと握り締めてずっとダメだよって言ってる香澄ちゃんを大事に大事に抱き締めて、額にキスを落とす。

「痛い思いさせてごめんね」って眉を下げた萩原に「研二くんのせいじゃないよ、」って香澄ちゃんが困ったように笑って萩原の頬を撫でる。それから怒ったように眉を顰めて「研二くん、あの時殴られるつもりだったでしょ」って言うから萩原がハッとして「な、んで…それ、」って言葉を詰まらせる。

「しなくていい怪我、しようとしないで。わたしだって、研二くんのこと、大事なんだよ」って萩原の頬を撫でながら香澄ちゃんが言うから、そこでようやくあの時の自分の選択が香澄ちゃんを傷付けた上に怖い思いをさせていたんだって気が付いて胸が痛くなる。

「…うん、ごめん。もうしない。香澄ちゃんのことも、自分のことも、同じくらい大事にするから」って誓いを立てた萩原が香澄ちゃんを思い切り抱き締めた。
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