私だけの零くんでいてね

久しぶりにまとまった睡眠時間が取れるとなった時に自分の家では無くまっすぐ香澄ちゃんの家に向かっちゃう降谷、合鍵で中に入って寝室を覗けば穏やかに寝息を立ててるから、そうっとベッド脇に座り込んで香澄ちゃんの寝顔を見つめながら降谷も寝落ちして香澄ちゃんが起きる前にいなくなってる。

「最近零くんに会ってない」って電話口で不満そうにする香澄ちゃんに「僕は昨日、君の顔見たけど」って返して「えっ、いつ!?」って香澄ちゃんがびっくりする。「夜に少しだけな。仮眠しようと思って寄ったんだ」ってくすくす笑いながら降谷が言うから「お、起こしてよ…!」って香澄ちゃんが怒る。

「私だって零くんの顔見たいよ…」ってしゅんとする香澄ちゃんに「…ごめん。中々帰れなくて」って降谷が謝れば「ううん。零くんが忙しいって、分かってるから」って香澄ちゃんが寂しそうに言う。

大丈夫だよ、寂しくないよ、私のことは気にしないでねって、香澄ちゃんはいつも言うけれど、それが強がりだって降谷は分かってる。だから「聞き分けの良い彼女じゃなくて、いいよ」って優しく言えば、電話の向こうで香澄ちゃんが息を飲む。

「今、僕は君のワガママを叶えてあげられない。いつか、君のワガママを全部叶えられるようになった日の為に、全部聞かせて」って降谷の言葉に、ぽろぽろと本音が零れる。会いたい、寂しい、ぎゅってしたい、もっと一緒にいたい。

いつもなら、絶対直接言わないワガママが香澄ちゃんの口から溢れ出す。「うん。僕も会いたいよ。君の顔が見れない日は寂しくて、見れた日は思い切り抱き締めたくなるよ。君とずっと一緒にいられるように、頑張るから。もう少しだけ待ってて」ってどんなワガママも全部優しく聞いてくれる降谷に香澄ちゃんの目から涙が零れる。

ワガママは徐々に愛の言葉に変わって「零くん、すき、だいすき。私だけの零くんでいてね、嫌いにならないでね」って言う香澄ちゃんに「僕も大好きだよ。愛してる。こんな甲斐性の無い男、いつ捨てられるかって僕の方がドキドキしてるよ」って降谷が楽しそうに笑って「香澄、愛してる。僕には、昔も、今も、この先も。ずっと君だけだよ」って言ってくれるから、それだけで怖いものは無くなるよね。

「じゃあ、また連絡する」って切れてしまった通話終了の画面を見つめて、いつもは寂しくなっちゃうけれど、今日は寂しくないよね。
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