何でアイツと付き合ってんだよ

「は?何?お前俺が浮気してるって言いてぇの?お前みたいな取り柄が一つも無い女と付き合ってやってんのは俺だろうがよ!」って彼氏に突き飛ばされて尻もちをついた香澄ちゃんを見てられなかった松田が「自分の女怒鳴って手上げるような男にどんな取り柄があんだよ」って助けてくれる。

尻もちをついた香澄ちゃんの後ろからポケットに手を突っ込んでサングラスをかけた松田が現れるから「な、なんだよテメェ…!」って彼氏はちょっと後ずさる。そんな彼氏をチラッと見てから「大丈夫か?」って香澄ちゃんに手を差し出すから「あっ…だい、じょうぶです…すみません…」って香澄ちゃんも恐る恐るその手を取る。

掴んだ瞬間にぐいっと引っ張られてぽすっと松田の腕の中に収まった香澄ちゃんの顔を覗くように少し膝を折って屈んだ松田が「痛ェとこは?」って聞くから「な、ないです…!」って答えれば「ん、なら良い」って頭をぽんって撫でられてちょっとドキッとする。

けれどさっきまで呆気に取られてた彼氏が我に返って「ハッ…!俺が浮気してるって散々疑って文句言ってたくせにテメェの方が浮気してんじゃねぇか!誰彼構わず股開くようなクソビッチ、こっちから願い下げだっつーの!」って怒鳴ってくるから「〜〜ッこの人は関係無いでしょ!変なこと言うのやめてよ!」って香澄ちゃんが堪らず言い返す。

「まあ?テメェみたいなブス付き合ってやれんのは俺だけだぜ?今謝るなら許してやってもいいけど?」ってヘラヘラ笑って言ってくる彼氏に、ぎゅっと唇を噛み締めてれば後ろから回ってきた腕に抱き寄せられる。

びっくりした香澄ちゃんが固まってれば後ろから伸びてきた手が顎をクイッと持ち上げて、松田が香澄ちゃんの顔をマジマジと見てから「アンタ、何でアイツと付き合ってんだよ」って言うから「なん、でって…」って言葉に詰まっちゃう。

「どう考えてもアンタみたいな良い女が付き合うようなレベルの男じゃねぇだろ」って言ってくる松田に「は…?」って香澄ちゃんがぽかんとしてれば、バカにされたと気付いた彼氏が「ハァ!?テメェ、ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ!!」って怒鳴って松田の胸ぐらを掴む。

「ちょっと、止めてよ…!」って香澄ちゃんが慌てて止めに入ろうとしたのを手で制した松田がニンマリ笑って「おーおー、威勢がいいな。いいぜ、かかって来いよ。俺に一発でも当てることが出来たらちゃぁんと公妨でしょっ引いてやるからよ」って言うから彼氏の顔色が悪くなる。

「は…?しょっ引くって、おまえ…」って胸ぐらから手を離して後ずさる男に「まあ胸ぐら掴んだ時点でアウトだけどな。あと、さっきコイツを突き飛ばしたのも暴行罪に出来っけど、まだ言いてぇことがあんのかよ」って睨みをきかせた松田に彼氏は手を握り締めてぷるぷると怒りに震える。

「テメェと付き合ってるとろくな事がねぇんだよ!もう謝ろうが何しようが許してやらねぇよ!どこにでも行っちまえ!」って怒鳴っていなくなっていった彼氏…ではなく元彼氏を見る香澄ちゃんの目はまん丸になっている。

「悪かったな、余計なことして」って香澄ちゃんに向き直った松田が眉を下げるから「えっ…!?いやいや、こちらこそ…!すみません、ほんと、こんなしょうもない喧嘩に巻き込んじゃって…」って香澄ちゃんが苦笑いで返す。

その手が、声が微かに震えていて目も潤んでいるのが分かった松田が思わず香澄ちゃんの手を引く。「さっきも言ったけど、アンタは良い女だと思うぜ。あんなクソみたいな男、アンタが気にする必要、一個もねぇだろ」ってあやす様に背中をとんとんって撫でてくれるから「…ありがとうございます」ってふっと表情が緩む。

それからもう一度お礼を言って頭を下げれば松田が「なぁ、一個頼みがあんだけど」って言うから「はい…!もちろん、私にできることなら」ってお礼がしたかった香澄ちゃんが嬉しそうに頷く。

「連絡先、教えてくんね」ってポケットから携帯を取り出した松田にきょとんとすれば「…弱みに漬け込むみてぇで乗り気じゃねぇけど、アンタのこと良いなって思ったから」って言われて一気に顔がぶわっと熱くなる。

「は…ぃ…?」って首を傾げれば「本当は今すぐ好きだって伝えて付き合ってくれって言いてぇけど、今そんな状況じゃねぇだろ。ちゃんと手順踏んで、アンタが、誰がどう見ても俺に気があるって状態になるまで告白はお預けな」って悪戯っ子みたいにニシシッと笑った松田から熱烈なアプローチを受けまくって香澄ちゃんが早々に白旗を上げることになる。

「アンタが好きな食べ物は?」「え…っと、オムライス…?」「マジ?俺も好き。今度一緒に食いに行こーぜ」「う、うん…」「ちなみに俺の好きな食べ物はカレーな」って根掘り葉掘り聞かれて全部喋っちゃう香澄ちゃんがいて、ちょっぴり心配になる松田がいる。
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