すれ違いざまに突然香澄ちゃんに拳を振り上げた男を見て反射的に庇った萩原が「ってぇ…」って頬を殴られる。「研二くん…!」って泣きそうな声をあげる香澄ちゃんを庇うようにぎゅうって抱き締めながら男の手を掴んで「テメェ、何のつもりだよ」って低い声で唸るように言って睨み付ける。
「チッ…!離せよ!」って怒鳴る男に「離す訳ねぇだろ」って返してから香澄ちゃんに「悪い。警察と…あと、松田に連絡してくんね?」って自分の携帯をぽいっと渡してから、ぎゃあぎゃあ騒いでる男の腹に「うるせぇな…ちょっと大人しくしてろ…!」って拳を打ち付けて地面に押し倒して拘束する。
その様子をぽかんと見てた香澄ちゃんだったけど、ハッとしたように萩原の携帯で電話をすれば、すぐに警察が駆け付けてくれる。勿論その中には松田もいて、萩原とその下で暴れる犯人を見て「おーおー、お前よく無事だったな」ってケラケラ笑うから、香澄ちゃんは意味が分からなくて思わず首を傾げちゃう。
「こんだけブチ切れたハギ相手にして怪我してねぇのすげぇよ。ハギ、あとは俺らに任せとけ」って松田が言えば「…悪ぃな、陣平ちゃん」ってへらっと笑った萩原が男の上から退く。
「ま、偉かったんじゃねーの。彼女の前でカッコつけただけかもしんねーけどな」って悪戯っ子みたいに笑った松田が萩原の肩にぽんっと手を置けば「うるっせぇな。香澄ちゃんがいんのにボコれるかよ」って不貞腐れたように唇を尖らせてぷいっとそっぽを向く萩原がいる。
初めて見る萩原の表情に香澄ちゃんが目をぱちぱち瞬かせてれば「怖い思いさせて、ごめんな」って眉を下げた萩原がそっと香澄ちゃんの頭を撫でて「怪我してねぇ?」って首を傾げる。
「私は平気だけど…研二くんが…」って真っ赤になった頬に恐る恐る手を伸ばせば後ろから「そんくらい慣れてっから大丈夫だって。なあ、ハギ?」って松田が笑う。「慣れて…えっ、?」って香澄ちゃんがきょとんとすれば、萩原は居心地が悪そうにそろっと視線を逸らす。
それを見た松田が「コイツ、俺と殴り合いの喧嘩したこともあるし、昔ちょっかいかけてきた奴らボコッたりもしてるし、多分お前がいなかったらあの男ボッコボコになってたぜ」って笑いながら言うからギョッとして萩原を見る。
「えっ…そ、そうなの…?」ってびっくりしながら聞けば「……今はやってねぇし」って唇を尖らせてぶすっとするから可愛くて思わず笑っちゃう。「スマートでかっこいい研二くんしか見たこと無かったから、やんちゃで可愛い研二くんが見れて嬉しい」ってクスクス笑う香澄ちゃんを見て、今度は萩原が目を丸くする。
「お熱いこって。んじゃ、俺は行くわ」ってひらひら手を振って帰って行った松田を見送って「…幻滅してない?」って聞いてくる萩原に「しないよ。どうしたの急に」ってクスクス笑っちゃう。
「さっきも言ったじゃん。色んな研二くんが見れて嬉しいよ。…守ってくれてありがと」ってふにゃっと笑った香澄ちゃんが萩原の頬にちゅってキスをするから「敵わねぇなぁ」って頬が緩んじゃう。