いつもの店で旧友たちを酒を飲んでいた降谷は、ふと気になったことを萩原に尋ねた。
「…というか、お前のことだから本気で探そうと思えば探せるんじゃないのか?」って首を傾げた降谷に、諸伏と伊達も確かに、と頷けば「あー…それな。俺も前に言ったんだけど、大分拗らせてんだよコイツ」って松田がげんなりした顔で萩原を指差す。
「拗らせてる?」って言葉の意味が分からなかった諸伏が首を傾げて、声には出さずとも降谷と伊達も同じ気持ちで首を傾げる。
「…そんな、ストーカーみたいなことして嫌われたらどうすんだよ」って聞こえるかどうか分からないくらいの小さな声で呟いた萩原に堪らず降谷の口から「はぁ?」って怪訝な声が出る。
「俺のことが大好きな子、って言ってなかったか?」「まさか妄言?」「既に手遅れだったのか」って伊達、諸伏、降谷の順にうわぁ…とでも言いたげな目で萩原を見れば「お前ら他人事だと思って面白がってんじゃねぇぞ」って萩原がぎろりと三人を睨み付ける。
「いきなり音信不通になった奴が、数年越しに突然目の前に現れて君の友達から居場所を聞いたんだ、なんて言ったら怖がられるに決まってんだろ」って不貞腐れたように唇を尖らせた萩原に全員が何とも言えない顔になる。
確かに言葉にするとマズい。しかもそれをやっているのが現役の警察官というのも中々にどうかと思う。「…悪かった」って素直に謝った降谷に「俺だってそれが許されんならとっくにやってるっつーの」ってグラスに入っていた酒を一気に煽った萩原がダン、とグラスを置く。
「おれのこと、まだすきでいてくんねぇかな」って言いながら突っ伏した萩原に「最終的にお前のとこに戻って来たとしても元カレの一人や二人は覚悟しといた方がいいだろうな」って松田がニヤリと悪い顔で笑う。
その瞬間すごい勢いで「は???」って真顔で顔を上げた萩原に「まぁ…萩原の話を聞く感じだと7年前ってことでしょ?有り得なくもないよね」って諸伏も苦笑いを零すから萩原の目がどんどん濁っていく。
「あー…でもほら、大事なのは最終的にその子が誰を選ぶか、だろ?」って伊達が慌ててフォローを入れるけれど「俺の知らないあの子を知ってる男がいるとか、無理なんだけど」って萩原が眉間に皺を寄せる。
再び全員の顔がうわぁ…と言わんばかりに歪められるけど「でもその原因を作ったのはお前だろ」って降谷によってバッサリと切り捨てられてしまい、萩原の顔がたちまち情けなく歪む。
「だぁからぁ…分かってんだってばぁ…だから今こうやって泣き言言ってんじゃんかよぉ…」って再び突っ伏した萩原に「泣き言言ってる自覚あったんだな、お前」って松田が感心したようにけらけらと声を上げて笑った。