一度事件に巻き込まれてから、巻き込まれ率が異常に上がってしまった香澄ちゃんに松田が「…またか」って額に手を当てて思わずため息を吐くから「す、すみません。私も、また巻き込まれるなんて思ってなくて…」って香澄ちゃんが眉を下げる。
「常連になってきたな」って苦笑いをする伊達の横で「こんな常連あって堪るか」って松田が眉間に皺を寄せる。「私も、常連はポアロだけがいいです…」って言う香澄ちゃんに「今回も、たまたま居合わせただけだな?」って松田が聞けば「は、はい…!同じお店の中にいただけです…」って香澄ちゃんが頷く。
「ん、ならあっちで座って待ってろ。後で声かける」って松田が人だかりから離れた場所を指差してくれるから、有難く頷いて移動する。
香澄ちゃんを見送る松田の姿に「…随分優しいじゃねぇか。まさか、惚れてんのか?」って伊達が笑いながら松田を見れば「バッカ…!おま、怖ェこと言うんじゃねぇよ!」って本気で慌てたような顔をするから「お、おぉ…なんだよ、珍しいな…」って思わずたじたじになる。
「滅多なこと言うんじゃねぇよ。ただでさえアイツのせいでクソ面倒なことになってんのに」って舌打ちをする松田に全く状況が呑み込めていない伊達が首を傾げる。
「あの子、何かあるのか?」って香澄ちゃんのいる方をチラリと見た伊達に「…パツキン大先生曰く、ハギのアレらしい」って松田が小さな声で簡潔に告げれば、伊達の目がこれでもかと言うほど見開かれる。
「アレって…アレか?」「アレだ」「いつものアレ?」「そう、いつものアレ」って傍から見ればバカみたいな会話に聞こえるやり取りを繰り広げる二人の顔は至って大真面目だった。それがどれほどの事なのかを彼らは良く知っているから。
「…そ、れは、なんつーか…俺が悪かった」って先ほどの言葉を謝罪した伊達に「アイツにバレてもアウトだし、人伝に伝わっちまってもアウトだ」って事件の時と同じくらい…むしろそれ以上に真剣な顔をする松田に苦笑いを浮かべながらも、内心では伊達もハラハラしていた。
確かに、どんな形であってもこの話が萩原に伝わるのはまずい。…と、そこまで考えて伊達はふと気が付いた。「待て。お前これ、俺に話す必要無かっただろ」って松田をジトリと見た伊達に、松田がにんまりと笑って「アイツにバレた時、一緒に怒られてもらおうと思ってな。道連れだ」って言うから伊達は思わず頭を抱える。
「お、前なぁ…」ってがっくりと肩を落とした伊達にけらけらと笑った松田が「俺もパツキン大先生に同じことやられてんだよ。死なば諸共って言うだろ」って言うから「その言葉の使い道は絶対今じゃねぇだろ」って伊達がため息を吐いた。
その後、事件はスムーズに解決し香澄ちゃんからも簡単に状況を聞いた松田が「ん、サンキュ。助かった」って香澄ちゃんに向かって言えば「い、いえ…!こちらこそ、ありがとうございました」って香澄ちゃんが丁寧に頭を下げる。
それからそろりと顔を上げて「…あの、伊達さん、顔色悪くないですか…?」って心配そうにするから「あぁ、悪いな。ちょっと頭痛がな…」って伊達が誤魔化せば「大丈夫ですか?」って香澄ちゃんが益々心配そうな顔をする。
「心配しなくても頭痛の原因はコイツだから、大丈夫だ。心配してくれてありがとな」って笑った伊達が松田の頭を小突くけれど、当の松田は楽しそうに笑うばかり。何だか見たことのある空気感だな、と香澄ちゃんがくすくす笑いながら「ふふっ、安室さんと一緒にいる時みたい」って言うから二人とも思わずぽかんとしてしまう。
「安室さんと?」って首を傾げる伊達に「はい。お二人の雰囲気が、この間の松田さんと安室さんみたいで。仲良しなんだなあって思っちゃいました」って笑う香澄ちゃんに何となくむず痒くなっちゃって、頭の後ろをがりがり掻きながら「…そうかよ」ってそっぽを向く松田がいる。
その姿に益々笑みが零れちゃって香澄ちゃんが笑うから「笑いすぎだっつの」って松田が香澄ちゃんの頭を軽く小突けば「ふふ、ごめんなさい」って益々楽しそうに香澄ちゃんが笑った。
その数日後、降谷から「最近、彼女と仲が良いみたいじゃないか」って笑われた松田がきゅうっと眉間に皺を寄せて「はぁ?どっからの情報だよ、それ」って嫌そうにする。
「彼女からだよ」って肩を竦めて笑った降谷が「彼女、最近事件に巻き込まれる頻度が高いだろ?現場で毎回松田さんが気遣ってくれるから嬉しいし、安心できるって言ってたぞ」って言うから「そうかよ」って素っ気なく返してタバコに火を付ける。
ふう、って紫煙を吐き出してから真剣な顔で「……それマジで絶対墓場まで持ってけよ」って降谷に向かって言うから、思わず降谷が吹き出す。
「ぶっ、ふ、はははっ…!確かに、これを彼女が言っていたなんて、アイツに知られたらヤバそうだ」って楽しそうに声を上げて笑う降谷に「笑い事じゃねえよ。こちとら死活問題だっつの」って松田が嫌そうな顔で言う。
それからハッと思い出したような顔をした松田が「あ、そう言えば…道連れ、増えたぜ」ってニヤリと悪い顔で笑うから降谷が首を傾げる。「伊達にも教えてやった」って悪戯っ子みたいな顔で笑った松田に降谷は一瞬だけ目を見開いてから同じように悪戯っ子のような顔で笑う。
「ならヒロにも教えてやらないとな。仲間外れは可哀想だ」って言いながらわざとらしく笑う降谷に「これじゃ自分一人だけ知らなかったって逆にハギが拗ねそうだな」って松田が言うから二人で声を上げて笑ってしまった。