tori


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✐タイガ…虎の半獣の子供。名前がなくて、竜也が命名する。大人になるとイケメン、金髪、金目、210cmの巨体。耳、尻尾、背中、手足に毛がはえている。片言。


数秒互いに見つめ合っていたが、ずっとそうしている訳にもいかず、動いたのは竜也だった。
ゆっくりと半獣の男の子の前にしゃがみ込み、小さい子に声をかけるような優しい眼差しで見つめる。

「怖かったよな…俺を助けようとしてくれて、ありがとう」

怯えさせないよう優しい声で伝えれば、言葉がわかったのだろう。
男の子は少しだけ体の力を抜いた。

「凄いな、君は。たったひとりであんな大きな熊に立ち向かうんだから」

そう言って、金色でふわふわした綿菓子のような髪に手を伸ばす。
そして小さな頭を優しく撫でた。

「…ぅー…」

男の子がゆっくりと目を閉じ、気持ち良さそうに頰を染める姿はあまりにも可愛らしい。
癒やしのなかった竜也にとって、心温まる瞬間であった。
時折もふもふした耳に手が触れると、ぴくぴくっと動き、ぺたんと前に倒れる。

「っ…可愛い…」

竜也は男の子があまりにも可愛くて、両脇を抱えて膝の上に乗せた。

「うー…?」

男の子はくりくりの瞳で竜也を下から見つめ、小首を傾げる。
その可愛さといったら、鼻血レベルだ。

「あー、もう、本当可愛い」

ぎゅうっともふもふの背中ごと自身に引き寄せ、もちもちするであろう男の子の頰に擦り擦りした。
すると想像よりも柔らかく、ぷにぷにで竜也の顔が蕩けるのがわかる。

「ぁうー」

決して嫌がっている訳でない事がわかり、竜也は心ゆくまで男の子を抱きしめ堪能したのだった。

「俺は黒野竜也。君の名前を聞かせてもらえるかな?」

いつもならお前と言うのに、小さな子供だから乱暴な呼び方はやめて、君と呼んだ。

「…うー?」

男の子は意味がわからないと言って、首を傾げるだけ。

「えっと、名前。俺は竜也、君の名前は?」

もう一度説明するもやはりピンと来てない様子だ。

「あれ?もしかして、名前ないとか?そんな事ないよな?」

竜也が不思議そうにすれば、男の子はこくこくと頷く。

「え…!?名前ないの!?」
「うー」

どうやら本当に名前が無いらしい。

「じゃあ、何て呼べばいいのかな?俺が勝手につけていいのかな?あくまで今だけなら、いいか?」

うーんと悩んでいれば、男の子はにこっとはにかんだ。

(うん、可愛い!)

竜也もつられて、にこっと微笑む。

「まだ喋れないのかな?」

先程から、うー、とか、あうー、とかしか言ってないのを見て、まだ赤ちゃんに近いのかもしれないと考える。

「あうー」

どうやら、話せないらしいが、聞き取る事は出来るようだ。

「なら、見た目は虎っぽいから、タイガーをちょっと短くして、タイガとかどうかな?」

男の子にそう問いかければ、気に入ったのか花が咲くような笑顔で頷いた。

「良かった!気に入ってくれたんだね。じゃあ、君は今日からタイガだね!」

そう言った瞬間、タイガの体が紫色に輝いた。

「……え?」

一瞬見間違いかと思い、もう一度タイガを見れば、やはり紫色に輝いていた。
そして、その色が強くなったと思えばキラキラと光り輝き、膝に乗せていたタイガが急に重くなる。

(重っ!!?え…、何!?)

あんなに軽かったのに、急に重くなったと思えば、タイガを抱きしめていた筈の腕が外側に押しやられる。

「うぉ…!?」

竜也がびっくりして後ろに仰け反れば、当然そこは土の地面となり、頭をぶつけると目をぎゅっと閉じた時だった。
ふわりと背中を優しく支えられ、後頭部を強打する事は免れる。
このもふもふした感触はなんだろうと目を開ければ、目の前にいるのは金色の瞳をした、超絶イケメンの美青年だったのだ。

「……ぇ…?」

どこから来たのか。
何で自分は押し倒されるような形で上に乗られているんだろうか。
そう思わずにはいられなかった。

「タツヤ。オレのゴシュジンサマ」

低く腰に来る落ち着いた声。

「………ご主人、様?」

意味がわからないと竜也は顔を青くする。

「ずっとハンニンマエだったオレにナマエつけてくれた。オレだけのごしゅじんさま」

そう言って、美青年がゆっくりと顔を近づける。
名前つけてくれた、そう耳に届いた瞬間、ようやく理解する。

「……え!?……もしかして、タイガ!?」
「そう。タイガ」

(いやいやいや!!…え、だって、子供だったじゃん?何でこんな超絶イケメンの男になってんだよ!?)

「ごじゅじんさま、ずっといっしょ」

形の良い薄い唇が動いたと思えば、ふにっと柔らかな感触。
その瞬間に2人の体が紫色に包まれた。
そしてタイガに口づけされたんだと気づき、何故かギョクレンがふと頭に浮かぶ。

「…オレにシュウチュウ。よそみ、ダメ」

タイガは眉を下げて、悲しそな顔をする。
それがまるで捨てられた仔犬のようで、竜也の胸がキュンと高鳴った。

「ほかのオス、ダメ」

そう言って、再び唇が重なる。
まるでギョクレンを思い浮かべていた事がわかったかのような反応に、一瞬だけぎくりと反応してしまう。
浮気がバレたような何とも言い難い気持ちに陥ったのだった。

「ん…」

何度も触れるだけの口づけが落とされ、本当にタイガなのかと疑う気持ちが未だにある。
あんな小さな子供が、珠里を超える程の巨体となって、しかも耳と尻尾、そして手足と背中に虎の毛がはえていた。


小さいままのタイガでしばらく書こうとしたが、色々長くなるので名前つけてもらった時点で本来の力を発揮する事が出来るようになり大人にさせました(笑)半獣とか、良いですよね。虎耳、可愛いなぁって。ワンコ攻め書きたいなと思ってたので、犬ではなく虎ですが…タイガにはそうなってもらおうかなと。片言で読みにくいとは思いますが、おつきあい下さい。


2025.01.08

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