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(結論から言うと、俺は物凄くピンチだ!つい最近も似たような事があったけど、あの時とは別の意味でのピンチなんだ!!今回は絶達絶命的な感じだ…!!これはもう終わったかもしれない…!)
竜也は金属製の檻の中に入れられ、片足首にこれまた金属製の足枷をつけられていた。
動く度にちゃりっとした金属特有の音が地下室に響き渡り、おまけに首輪もはめられ、その中心に鈴らしきものがちりんちりんと音を立てて鳴っている。
「……何でこんな事になっちまったんだよ…」
そう、昨日までは確かにタイガと2人で平和に慎ましく暮らしていた。
血の臭いがすると言ってタイガが家を離れた瞬間、事件は起きてしまう。
獣の姿をし、言葉を喋る集団により拉致され、あれよあれよと言う間に、この地下室らしき場所へ監禁されていたのだった。
どのくらいの時間が経過したのかすらわからず、竜也は1日中この檻の中で過ごしている。
食事は硬くてパサついたひと切れのパンが3回、鼠の姿をした獣が運んで来てくれた。
まだ子供なのだろう。
ちらちらとみてくる目が幼く感じる。
(あー…タイガ、大丈夫かな?無事だと良いんだけど…。って、人の心配してる場合じゃないよな…)
足枷は金属特有の冷たさがあり、空気は濁り、とても寒くて敵わない。
チャイナ服なんかを着ているせいで、暖をとるなんて皆無であった。
あまつさえ、スリットから見える太腿の生脚がやけ寒さを増幅させる。
「……」
広い地下楼なのだろう。
竜也から見て、何個もの部屋に区切られ、ひとつの部屋にひとりでいる者から、5、6人でいる者まで様々だ。
監視の目はたまにあるだけで、普段はいないのだろう。
その証拠に3食の食事を運んでくれる子供と、たまに見張り役であろうゴツい獣人しか現れない。
(…タイガが言っていたように俺のような人間がこの国では珍しいのか…。見える範囲で捕まってるのは人間だけだもんな…)
ここに連れてこられたのはどんな意味があるのだろう。
獣人の国と言われている地に足を踏み入れたものの、その生態は未だよくわかっていなかった。
けど、確実に言えるのは禄な事にならないと言う事だ。
多分だが、奴隷として一生働かされるのかもしれないし、最悪命を落とす可能性すらある。
そんな不気味な恐怖を連想してしまい、ぶるっと竜也は恐怖から身震いした。
ジゼルに出会うまでも少しだけひとりだったが、今はその非じゃない程に孤独と恐怖を感じる。
いつものワープは使えないみたいだし、どうやってこの場を切り抜けるかを考えなくてはならなかった。
どすどすと豪快な足音がし、竜也の部屋の前で止まる。
ゆっくりと顔を上げれば、ワニの姿をした獣人がいたのだった。
「新入りが来たって聞いて、来てみれば…細くて綺麗な成りしてやがんなぁ…」
黒い線の入った黒目の周りは黄色の眼球がぎょろりと動き、ワニ特有の硬くて湿った皮。
話す度に大きな口から見える牙に、竜也はぞっとしてしまう。
声もとても低く、威圧的だ。
「あ、はい。森深くに隠れてやした。状態が良いので、高く売れると思いますよ。一緒にいたであろう半獣は既に始末してやす」
その言葉に竜也の頭は真っ白になった。
半獣とはタイガの事だろうか。
今、何と言った。
がたがたと震える体。
はー、はー、っと呼吸が乱れていく。
「顔は不細工だが、体がスレンダーで綺麗じゃねぇか…。ただの奴隷にしとくのは勿体無ぇな。小さいが貴族様を楽しませるには充分だろう。締りも良さそうだし、…って、何だ…?……病気持ちか?」
竜也は苦しそうに口を開き、その場に倒れる。
そして体を痙攣させて、ひゅー、ひゅー音を立ててもがき苦しんでいたのだった。
2025.04.16
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