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✐ベルーザ…ワニの獣人。ガチムチの下衆じみた気性の荒い性格。貴族に奴隷を売り渡す商人。
✐ニロ…猫の半獣。黒とシルバー色の髪を中央でわかれ、銀フレームメガネの美男子。物怖じしない静かな性格。楼の支配人兼教育係。
✐ネピロード…鼠の子供獣人。ニロのお手伝い&主に食事配給係。
「こいつぁ、貴族様には売れねぇ!病気持ちなんか差し出した日にゃ、俺の首が飛んじまう!前回入った奴と一緒に客取らせろ…!」
「楼で働かせるでやすか!?あの人間と一緒にですかかや?」
「前のは相当な上玉だったが、こっちは体が客好みで、スルメタイプだろうな…。俺も一度で良いから相手して欲しいくれぇだわ…」
下衆じみた笑いをし、竜也のきめ細かな肌を見てごくりと唾を飲み込んだ。
スリットから覗く脚の細さに舌なめずりが止まらない。
「楼の人間に連絡してきやす!」
「あぁ」
見張りの獣人は慌てて飛び出して行ってしまった。
未だ苦しむ竜也などお構い無しで、ワニ男は厭らしい視線を向ける。
「少しくらいなら、味見してもいい…よなぁ」
にっと欲望丸出しで下衆じみた笑みを浮かべ、牢屋の鍵に手をかけた。
「ベルーザ、止めておけ」
淡々とした声がし、ワニ男ことベルーザが勢いよく振り返る。
「チッ…、……ニロか」
ベルーザは舌打ちをし、ニロを睨みつけた。
黒とシルバー色した髪は中央でわかれ、銀フレームメガネをかけた美男子であり、禁忌とされている猫の半獣だ。
まさかこんなに早く来るとは思っていなかった為、油断していた。
あの楼の護衛とは入れ違いになったのだろう。
何の目的でここに来たのかは疑問だが、1番見られたくない相手に知られた事に焦りの色を隠せなかった。
「お館様に知られたくなかったら、早々に立ち去れ。今なら見逃してやる」
ニロが出入口の方に顎を使って示せば、ベルーザは悔しそうにして慌てて去って行った。
「ネピロード」
ネピロードと呼ばれた鼠の子供獣人が竜也を見て、慌ててかけより布切れを口元へ充てる。
「そうだ、よくわかったな。過呼吸だ…、ゆっくり息を吸わせてやれ」
「……」
こくりとネピロードは頷き、竜也の背中を優しく撫で、布切れを袋のようにして膨らませる。
苦しい中で竜也は、この子は言葉が話せないんだな、と思いゆっくり目を閉じていく。
その間に聞こえてきた言葉は、無機質ながらも竜也を労るようなニロの声だったのだ。
(タイガ…、生きてるよな?始末した半獣って…お前の事じゃないんだよな?ここにも半獣いたよ…。生きてちゃいけない存在なんて…ひとつもないんだ…。タイガはひとりじゃ、ない…。だから…)
タイガの姿を思い浮かべ、目から涙を零し、竜也は意識を手放したのだった。
ようやく書きたかった獣人の国での花魁。牢屋とか、足枷とか、良い感じにヒロインよりも主人公してて、本当巻き込まれてばかりだなってのを書きたかった。これからもどんどん理不尽に色々されちゃう感じに行ければなと思う(笑)
2025.04.19
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