tori


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黎椎れいしい…ジゼルの部下であり、第一隊長。普段は門番や見回り中心の仕事をしている。クール系イケメン。


ジゼルに連れられ、珠里のいる館に来た竜也。
第一皇子ともなれば、権力を振り回し、さぞ贅沢三昧なのだろうと予想していたのだが、何だか違うようだ。
大きな城ではあるものの、綺麗な状態と言うにはいささか問題があるレベルのボロ屋敷だった。
正門だろうか、そこに一人若い青年が立っている。
ジゼルに気づくと、小さくお辞儀した。

「ジゼル将軍、お帰りなさいませ。そちらの方は?」

これまた綺麗な顔をし、180cmはありそうなクール系イケメンだ。
竜也は思う。
ここは美形しか存在しないのか、と。

黎椎れいしい、お前にだけは話すが、この方は黒野竜也様と言って、神子様で間違いないだろう。珠里様は部屋にいるか?」

ジゼルの言葉に最初は驚いたものの、竜也を明らかに胡散臭い様子で凝視する。
ジゼルもそれは理解しているのか、竜也を庇うよう背中で守ってくれた。

「黎椎、お前が疑うのはわかるが、俺がこの目で確認したんだ。信用出来ないと言うことは、俺を否定するのと同じになる。この意味わかるよな」

その言葉に黎椎は勢い良く頭を下げ、謝罪した。
その様子に悪い人間ではないのも、この城を守る為の警戒心である事も理解する。
突然、神子を連れて来たと言われたら、誰でも彼のようになるだろう。
竜也ですらそうだ。
どう信じろと言うのだろうか。
突然この世界に来て、ジゼルに拾ってもらえなかったら、自分はどうなっていただろうか。
そして、姫乃は無事でいてくれているだうか、それだけが心残りだった。
大人しくて、控えめな女の子。
竜也にとって姫乃はそんな存在だ。
いつも教室の片隅で、本を読んでいる様はとても美しい。
あの時、姫乃が神子に選ばれ、自分は助けようとして巻き込まれただけの存在。
だから、ここで生きる為には、何か身につけ、偽物だとバレてからも一人で暮らせるようにノウハウを培わなければならない。
竜也は決意し、ここで自分が出来る限り、いや、それ以上の事を進んで学ぼう。
そして、帰れなかった時の為にたくさんの事を身につけ、帰れる方法を見つけると心に刻んだのだった。
まず最初にする事は、庇われる事ではない。
黎椎に認めてもらって、自分の存在意義を見つけよう。
どんな事だってする。
戦えと言われなくても戦う。
家事、掃除、雑用なども全部こなそう。
その為には、自分を仲間だと思ってもらわなければならない。
一人でも多く、教えてくれる人は必要だ。
ここで黎椎の信頼を失うのも、弱い立場だと認識させられるのも嫌だ。
これから自分の先生になってもらい、たくさん知識と技術を盗みたいのだから。

(俺は将軍になる!鍛えてムキムキになって、可愛い嫁さんを貰う!カッコイイって言われたいし、あなた、お帰りなさいって言われたい!!いちゃいちゃしたい!!)

どこか目的がズレる竜也だった。
全くモテなかったからか、ここに居座って、可愛いお嫁さんの為に男になると決めた日である。


竜也は姫乃を優等生とか、女子に対して凄い綺麗なイメージを浮かべているが、実際読んでいた本はBL、または同人誌。大人しく見えたのは、脳内でいつも妄想して忙しいから。基本学校に毎朝早く来て、教室からグランドを見てるのは部活動男子達をウォッチングしたいから。周りからは可憐だの、清楚だの言われているが、そいつらをエサとして頭の中ではBL展開されている事に気づかないお花畑な男子も可愛いと思っている。かなりの腐女子。


2024.09.24

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