tori


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まず始めに与えられたのは楼で働く時に1番重要と言われる着物だった。
花魁を知っているのではないかと思わせる程に肩を出し、股下から足元にかけて片脚だけが出るように細工されている合わせ目。
竜也の黒髪が映えるような真紅の薔薇をあしらった、漆黒の着物。
元々竜也は神社の孫なだけあって、所作や出で立ちはもちろん、姿勢や礼儀作法もとても綺麗だった。
そこに付け加え、平凡だと思っていた顔に薄いながらも化粧施せば見違える程に美しく、ジゼルはもちろんの事、ニロさえも驚いてしまう。

「…これ程とはな」

ニロが呟けば、隣で呆然としているジゼルがはっと正気に戻る。
顔を真っ赤に染め、手の甲で口元を隠すように照れていたのだ。
竜也から視線を離す事なく、凝視する様は恐ろしい程に強い。

「これ、何か違くないか…?」

竜也自身が上から冷静に自分の姿を眺める。
胸元はかろうじて隠れているが、角度によっては乳首がもろ見え状態であり、合わせ目から見える脚はチャイナ服で慣れていたが、それでもいかがわしく感じるのは気のせいだろうか。
そして何より不釣り合いなのはこの着物に対しての中身だ。
こんな平凡で男っぽい自分に、花魁はあまりにも遠すぎて違和感しかない。
現にジゼルはもちろんの事、ニロまで固まっているではないか。

「こんななんだけど…、無理あるよな?」

そう言って捲り上げれば、細く綺麗な脚があらわとなり、真っ赤な下着が目に飛び込んで来た。
傷ひとつない健康的な肌色。
元々の毛が薄いのだろうか、うぶ毛程度しかはえていなかった。
柔らかそうでいて、それなりに筋肉がついているが、この世界にはないスレンダーさが男の欲を刺激してならない。
竜也自ら見せてくれるなど思ってもなかった為、男2人は完全に固まる。
こうして見せる意味を知っているのだろうか。
いや、知らないだろう。
これは男に抱かれたいと言うお誘いの合図なのだと言う事を。

「積極的だな」

ニロは真顔で竜也の股間をガン見。
目を細め、品定めするかのような視線が何とも居心地が悪くて堪らない。

「神子様っ…!!!?」

ジゼルに至っては、鼻血をブーっと噴き出した。
顔は茹でタコかと言う程に赤く、床にぼたぼたと血を流しているではないか。

(え!?ジゼルさん、大丈夫!?何かの病気!?)

「いくらなんでもこれは…、きっついだろ…」

竜也が動揺するのも無理はないだろう。
股間を隠すだけの布はあるものの、他は紐だけで結ばれており、ティーバックそのものにしか見えない。
動く度に申し訳程度しかない紐が竜也の菊門に触れ、得体の知れない悪寒がしてくるのだ。
そして何より下半身はもちろん、何も覆われてない臀部がスースーして堪らなかった。

(こんなん風邪ひくだろ…。しかもケツが気持ち悪い…)

ごわつく下着と紐が擦れるだけで、変な感じがしてならない。

「っ…、エロ…!」

ジゼルがぼたぼたと鼻血を垂らして、下半身を抑え前屈みになった。
むくむくと息子が天を仰ぎ、下着からこんにちはしてしまう。
着物があるから見えないものの、竜也の純情無垢なエロさの前では無力だった。


2025.05.04

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