16
「想像以上にクるな…」
ニロは冷静を保ってはいるものの、頭の中は混乱していた。
竜也を初めて見た時は何て幼いんだと思っていたが、ここまで性に関して無防備かつ、危機感など全く知らぬ存ぜぬな程に魅了される色気はどこから来るのだろうか。
ここまでちくはぐなギャップは初めてだった。
そして、この少年はわかっていない。
そんな姿を見せられた男達がどんな目で竜也を見て、どんな風に啼かせ、自分好みに育てたくなるかを。
中性的な顔とスレンダーなニロですら、欲望を掻き立てられるのだから、ジゼルのような若くて精力の塊のような男には抑えなど効かないだろう。
その証拠に、隣から荒い呼吸が聞こえて来るのだから、堪ったもんじゃない。
「……」
ニロは少しだけ複雑な気持ちとなる。
何故ならば、ジゼルはずっと男を相手にしており、普通の考えならば精力は限界を突破しているからだ。
何人もの男を抱き、善がらせ、客が良い意味で昇天する程のテクニックの持ち主。
彼の国では性教育が盛んだったに違いない。
それ程までに匠な腰使いなのだ。
そんなジゼルが性欲など尽き果て、その気も起きないはずが、どうだろうか。
ニロはちらりとジゼルを見れば、臨戦体勢だと言わんはかりにぎんぎんになった瞳と着物の上からでもわかる程にテントを張ったイチモツ。
「ニロ…少しだけでいい。俺に神子様の手ほどきをさせてくれ…」
興奮しているのか、もう体ががたがたと戦慄していた。
目はギラギラと鋭く光り、獲物を見つけた獣のように細められている。
涎が垂れそうなのを必死に我慢しているのだろう。
何度も自らの唾液を飲み込んでいるではないか。
止めても無駄だと悟り、ニロは小さな溜息をついた。
「くれぐれも最後までするなよ。せめて前立腺の善さを覚えさせろ」
そう言って、ニロは部屋を去ったのだった。
この密室に残ったのは、竜也とジゼルの2人きり。
「やっぱり変です…よ」
ね、そう聞こうとして、竜也がジゼルの顔を見た瞬間、息を止めた。
色気を隠しもせず、雄の表情をした男がいるではないか。
鋭く細められた瞳の奥はギラギラと光り輝き、まるでご馳走を前にしたかのようにぺろりと舌なめずりをしていたのだった。
「……ぇ…?」
状況が全く把握出来ていない竜也は、ニロがいない事にも、ジゼルが興奮している事にも気づけなかった。
「…神子様、…私が手ほどきします。……他の奴なんかに触らせてたまるか…」
つかつかと近寄って来たかと思えば、思い切り強く抱きしめられてしまう。
硬い胸板と共に香る甘い匂い。
それに竜也の頭が一瞬だけくらりと揺れた。
これはきっと媚香と呼ばれる種類のものだろうか。
ジゼルから放たれる香は客を興奮させる作用があるのかもしれない。
竜也の心臓がばくばくと高鳴り、若干中心が熱くなる。
「っ…ジゼル、さ…?」
戸惑いながら、見上げれば、色気たっぷりに微笑まれる。
妖しいまでの魅惑的な笑みは、普段のジゼルからは想像出来ない程だった。
「今から、俺と気持ち良くなろうな…」
話し方が1番最初に出会った時のようだと思えば、息つく暇もなく貪るような口付けをされたのだった。
2025.05.29
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