13
「大丈夫なのは大丈夫なのですが…その…」
言いにくそうにするジゼルに、竜也はハテナマークを浮かべた。
「貴族達の奴隷や性奴隷をしたり、客をとって生活している」
ニロが現れ、ジゼルが冷や汗を流す。
竜也は言われた言葉が理解出来ず、固まってしまう。
「……え?性…奴隷?客…?」
「そうだ。ここに残っているのはジゼルともうひとりの男だけで、それ以外は貴族に飼われ性奴隷、そしてこの楼では体を売る仕事をしている、と言えばわかるか?」
眼鏡越しから冷たい瞳で言われ、竜也がびくりと体を縮こませる。
「……体を売るって、まさか…」
(男娼とか言うやつじゃ…?体を売る?…人間が獣人に対して…!?)
ジゼルが悔しそうに唇を噛み締めた。
竜也程の神子が何故こうまでして慰み者にならなければいけないのか。
珠里の傍にいたなら、そんな事をせずに幸せに暮らせたと言うのに。
自分に力がないばかりに、この国では仲間を失い、監禁され、神子までも失うのかと絶望しかなった。
「セックスして報酬を得る」
ニロが躊躇なく答え、竜也は目を大きく見開き驚愕する。
(セックスして…って、そんなの…)
「お前にもやってもらう。ジゼルはここでは1番のエースだからな。あと少しで金が貯まり、好きなように生きられる」
そう言われ、竜也がジゼルを見上げた。
「っ…!?」
互いの瞳が合わさり、ジゼルは物凄く辛そうに眉間にしわを寄せ、竜也から視線を逸らした。
それだけでジゼルの本意ではなく、やむおえなく客を取っている事がわかる。
そしてニロの言う通り、男娼をしている事は間違いではなさそうだった。
竜也の世界にもあるのだが、目にした事がなかった為、自分にはこれから先も縁遠いものだと思っていたが、この世界に来て身に滲みる。
本当に生きるか死ぬかの世界なんだと。
「この国では人間は奴隷、性奴隷、楼の身売りのどれかでしか生きられない。金を貯めて、この国を出るか。それとも永遠に奴隷などで生きていくか。それがこの国に無断で侵入して来た人間の末路だ」
そう言われ、竜也がゆっくりと起き上がり、ジゼルの着物を掴んだ。
「ジゼルさん…」
きゅっと掴み、ジゼルの心境を心配する。
きっとひとりで辛かっただろう。
よく、耐えたものだ。
自分だったら、ひとりで抱え込めただろうか。
なのに、気丈に振る舞い、竜也の心配ばかりして。
本当にこの人は優しい人なのだと思うのだった。
2025.04.24
- 43 -
*前次#
ページ: