tori


七夕


紅澤くれさわ士騎しき…竜也の友達。オカン不良。とにかく口が悪いが面倒見良い。物凄い美形で目の下に泣きぼくろがあり、色気がだだ漏れ。
※今後本編にて出で来るキャラです。


高校近くにある神社でお祭りが行われていた。
そこに竜也と仲良しの見た目不良、中身オカンの面倒見良い紅澤くれさわ士騎しきが2人で来ていた。
行き交う人達が士騎の顔に見惚れ、ほうっとして頬を染める。
お決まりのパターンだ。
凄く美形だが話しかけられない独特な雰囲気があり、一目見て不良だとわかる風貌をしていた。
今どき珍しくアクセサリーの類がないのは、単に彼が金属アレルギーだから。
不良と言われるといかつくてオラオラな感じするが士騎はどちらかと言うと一匹狼タイプ。
竜也がいなければ基本ひとりで行動し、竜也以外には靡かない所がまた女子人気が高かった。
更には泣きぼくろと言う色気満載に加え、ミステリアスに拍車がかかり、逆ナン目的の女子達は余計に声をかけられず傍観して終わるのだった。
一方、隣には平凡な竜也がおり、話しかけやすそうなのだがそれを士騎がひと睨みする事で見事阻止している。
こうして今宵も女子達は報われずに散っていく。

「紅澤、俺焼きそば食べたい」

竜也がアメリカンドッグ、チョコバナナ、たこ焼き、コーラを両手に持ち、きらきらした瞳で士騎と焼きそばの屋台を交互に見つめる。

「おい、もうやめとけ。てめぇ、どんだけ食うんだよ!いつも無駄に食い意地ばかり発揮して、食えてねぇだろうが!糞が!!」

舌打ちし、士騎が竜也を睨みつける。
その顔といったら、ヤクザばりの恐ろしさで周囲の人間が思わず後ずさりする程であった。
言われた竜也はと言えば、あっけらかんとしており、何食う顔でへにゃりとからかうように笑うのだから、周りの人間は驚きである。

「えぇ?だって、紅澤、どうせ食べてくれんじゃん。いっつも何だかんだ言って、助けてくれるし、俺のお母さんだもんな」
「あ?」

士騎の顔が更に凶悪になる。

「お母さん、俺に焼きそば買ってぇ」
「誰がてめぇの母親だ、ふざけんな、糞野郎!」

そうやって言いながらも財布から金を出し、竜也の言ったように焼きそばを注文する。
本当に優しいのだ。
竜也が両手塞がってるのを見て、気配りしちゃう程に。

「てめぇ、残したら犯すからな。覚えてろよ」

物凄い言葉が聞こえて来たが、竜也ははーい、とにこにこ顔で返事する。

「……はぁ、マジやってらんねぇ…。危機感、なさ過ぎだろ」
「あるけど?でも紅澤、絶対俺の嫌がる事しねぇし、いつも優しいじゃん。そんな所、好きぃ」

にいっと目を細めて笑う竜也に、士騎は小さな溜息をついた。

「はっ…、興醒めだわ…」

士騎は呆れ顔をし、顔を背ける。
微かに見えた耳が赤い事に気づく竜也。
本当にこの友人はからかい甲斐あるし、面倒見良くて、優しいのだ。
見た目で損してるが、士騎が心を開くのは自分だけだと言う密かな優越感にまだ浸っていたいと思う竜也なのである。

「そろそろ花火やるから、座ろうぜ」
「って、何か増えてんじゃねぇか!!」

竜也の手にはりんご飴とフライドポテトが増えており、士騎が突っ込んだのは言うまでもない。

「ビニール袋もらったから、買えちゃった」
「買えちゃったじゃねぇんだよ、どうすんだよ、この量。俺もお好み焼きとからあげあんのに、てめぇはマジ糞野郎だな!殺す!!」

そんな2人を姫乃が目の保養だと言って、鼻息荒く見ていた事を誰も知らない。


お題:七夕


七夕、全然関係なかった(笑)けど、とりあえず、トリップする前の竜也達の様子を書きたかったのでよしとしようか。竜也は士騎の前だとどちらかと言うと自由人。士騎が何でもやってあげちゃうから、クラスでは夫婦漫才扱いされている。だから、竜也はぼっちじゃないよって伝えたい。


2025.07.07

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