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結果から言うと珠里とは筋肉ムキムキの気さくで、頼り甲斐ある兄貴的な格好良い皇子様だったのだ。
部屋に入るなり、物凄い勢いで筋トレをし、自分を鍛えに鍛えた漢の中の男そのもので、ジゼルなんて越える程の巨体の持ち主であった。
200cmは行っているだろう長身と共に、ガチムチな筋肉質な体。
皇子と言うよりも将軍なんじゃないかと言うレベルである。
「お前が神子か!!いや、意外過ぎて笑っちまったぜ!いやぁ、15年生きてるけど、まだ知らない世界があったんだな!」
その言葉に竜也が驚愕の声をあげた。
それにジゼルと珠里がどうかしたのかと目をまるくして見る。
「え…、ちょっと、まって…?皇子様は15歳って事??」
竜也が自らの額に手を宛てて、あり得ないとばかりに呟く。
「はい、珠里様は15歳です。それでこの国の時期国王となられる方です。俺とは二歳しか歳が離れてませんが、未だに剣術では勝てない程にお強いです」
素晴らしいとばかりにジゼルが珠里を褒める。
それは本当凄い事なんだろうけど、将軍よりも強い皇子って、他にいないだろうけど。
それよりも気になるのは珠里の年齢である。
今、15歳と言ったのか。
15と言えば、自分のいた世界では中学生三年生、また高校一年生である。
しかもジゼルまでも二歳年上と言っていた気がする。
まさか、あの優男風で余裕しゃくしゃくなのに17歳なんて、あり得るのだろうか。
竜也の頭はパニック状態。
「竜也、どうかしたのか?」
珠里の言葉に、竜也は素早く目の前へと移動し、その場で土下座する。
「色々言いたい事や聞きたい事あるけと!全部すっ飛ばして、どうしたら、そこまで筋肉ムキムキになるのか、教えて欲しい!俺もムキムキになって、可愛い嫁さんが欲しい!」
その言葉に、珠里とジゼルは目を大きく見開いた。
そして必死な姿の竜也を見て、二人で大爆笑したのだ。
「ぶはは!!!ちょ、何だよ…それっ!!竜也、俺みたいになりたいのか?まだ子供だから、筋肉もつかないし、身長も伸びないだけで、焦る必要ねぇぞ。今から五年くらい修行すれば、もしかしたらジゼルくらいにはなるかもしれないけどな」
その言葉に竜也がハテナマークを浮かべる。
「……?子供?俺が子供?皇子様の方が子供だよな?」
小首を傾げ、不思議そうな顔をする。
その言葉の意味に、珠里とジゼルは目を大きく見開いた。
「……え?……、……ちょっと待ってくれ。竜也、お前、今、何歳だ?」
恐る恐る聞く珠里に、竜也の口から出る言葉に衝撃が走ったのは言うまでもない。
「18歳だけど。皇子様とジゼルさんは俺より年下だから、どうしたらそんなに大きくなれるのか不思議で。成長期も過ぎたし、今から大きくなるって言うのは、ちょっと無理があるんじゃないかと思って…」
雷に撃たれたような衝撃と共に、目の前の男二人がその場に倒れた。
その様子に、何事かと竜也は慌てて駆け寄る。
「え、ちょっと…、大丈夫か!?」
何か持病でもあるのかと慌てる竜也を他所に、二人は放心状態だ。
「……珠里様、こんな事ってあるのでしょうか?」
虚ろな目をして、ジゼルが言葉にすれば、珠里もまた同じように返す。
「……あぁ、俺も同じ思いだぜ。神子様ってのは、童顔でとても幼いんだな…。意外過ぎて、チビるかと思った…」
竜也は意味がわからず、未だに二人を心配している。
「神子が成人してるって、どんな状況だよ…。しかも男…。まぁ、俺からしたら、都合良いけどなぁ…」
信じられないとどちらが言ったのだろうか。
ジゼルは若干、珠里の最後の台詞が気になるも目の前にある問題の方に頭がいってしまっていた。
竜也が18歳と言う事は結婚も出来るし、嫁にだって迎え入れる事が出来る。
神子として役目を果たした暁には、側室として迎えよう。
側室としてと言ったが、妾を作る気など一ミリもないのだが。
正に出会った瞬間、いや、口づけた瞬間から運命を感じていたジゼル。
竜也の心を射止める事を決心したのだった。
「10歳くらいかと思っておりました」
ジゼルの言葉に、今度は竜也がぎょっとする番だった。
「えぇぇぇ!?俺、そんな小さく見られてたの!?」
竜也の声が館中にこだましたのは言うまでもない。
由緒正しき神子は年端もいかない乙女、そして処女だと言い伝えられていた。
この国の男は巨漢が当たり前な為、竜也の見た目や身長は幼子に見えるらしい。
そして竜也は後に、この世界には男しか存在しない事を知るのはまだ先の話だったのである。
2024.09.26
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